取り戻せアンケート! 4
「アタシという存在がありながら、よくも抜け抜けと……! 今回ばかりは絶対に許さないわよ!」
「ま、待つんじゃヘラよ! これにはオリュンポス山より高く、エーゲ海よりも深い事情が――」
「黙れっ!」
「ぐぼぉっ!」
問答無用の一撃。ハーデスを含め、集合しつつあった神々も悲鳴を漏らす。
ヘラはそのまま馬乗りの状態となり、ゼウスの顔面をひたすら殴り始めた。……彼の浮気癖が導いた罰とはいえ、見ていて同情したくなる光景が完成している。
「あ、あのさ、ヘラ、その辺りにしといた方が……」
「駄目に決まってるでしょ! ここで手を緩めたら、コイツはまた浮気を繰り返すはず。徹底的に
「……」
止めに入る神はいない。むしろヘラへ味方する者が多く、まあ仕方ないよね、という声すらあった。
「いやあ、凄いですねヘラ様。私には真似できませんよ」
「ま、真似しなくていいって……でも本当、助けなくていいのかな?」
「大丈夫じゃないですか? ゼウス様、笑ってますし」
「は?」
「いえ、ほら」
ゼウスの顔が見えるところまで回ってみると、確かに。ヘラの猛攻に晒されながらも、余裕を崩さない主神がいる。
「なんか、逆に喜んでない……?」
「ふむ、つまり男性は殴られると喜ぶんですね。勉強になりました」
「そ、そういうのは一部の特殊な人たちだけだって! あんなことされたら、普通は血と涙で一杯だと思うよ?」
「ふうん……ゼウス様は不思議なお方ですねえ」
まあ、個性的なのは間違いない。
一通り殴ったヘラは、さすがに息を切らしていた。反対にゼウスの方は余裕を保っている。所々から血を流したりしているにしても、表情そのものには余裕があった。
「気持ちよかった……」
「じ、自分から言っちゃったよ、こいつ!」
「ふむ、ハーデスよ。そんなだから貴様は男気が足りぬのだ。変態という名の紳士、という名言を知らんのか?」
「それと男気って関係あるの……?」
「ある! 男は基本、性欲の塊である!」
恥も踏まえず、ゼウスは大声で言い放った。
彼が言うと、確かに説得力満載である。
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