頑張れお兄ちゃん 5
「うわあああぁぁぁああああっ!? ヘラ!?」
「はあ? うわぁっ、とは何よ!? 私はアンタの様子が心配で来てやっただけだっつーの! ノンキにゲームなんてやってんじゃねえわよ! 外へ出ろ!」
「い、いやだっ!」
床にしがみ付くハーデス、それを無理やり剥がそうとするヘラ。
傍から見ていると喧嘩中のカップルに見えなくもないが、その実態はじゃれ合っている兄妹――だと思う。かなり一方的だがそうしよう。
しかし案外と、状況はヘラの優勢であった。足を引っ張られたハーデスの下半身が浮いている。
「まあヘラ様、随分とお強いんですね」
「あったり前でしょ、母は強し、よ!」
「た、確かにヘラは、アルテミスと一対一で勝っちゃう女子力(物理)の持ち主だもん――痛い痛い! そんなに強く握らないで! 足に跡付いちゃうよ!」
「だったら早く、ペルセポネを連れて外へ出ろ! 私らの仕事が増えて迷惑だっつーの!」
「いやだあああぁぁぁぁあ!!」
威厳の欠片もない、惨めすぎる叫びだった。
しかしヘラの攻勢は止む気配がない。結婚や家庭をつかさどる女神でありながら、さすがの腕力である。
さっきも言った通り、彼女はゼウスの娘、狩猟神アルテミスとのタイマン勝負に勝利する武術の持ち主だ。……正直、外見からは想像も出来ない。
雪のように白い肌、凛々しい顔立ち。ペルセポネが可愛い系の少女なら、ヘラは完成された美女。特定の条件を満たせば、美の女神よりも美しい存在となる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます