ようこそタルタロスへ 2

「はっ、は! 久しぶりじゃなあ! ――うん? 誰じゃ、そこにいるベッピンさんは」


「あ、えっと、父上、我の奥さん」


「なに!?」


 初めて会う義父へ、ペコリと頭を下げるペルセポネ。息子の結婚を知らないクロノスは、驚きのあまり動かない。


「お、おお、おおおお!! お前、結婚しておったのか!」


「う、うん。父上が封印された、ちょっとあとにね」


「そういうめでたいことは早く言え! はっ、今宵のうたげは最高じゃな!」


「う、宴?」


「おうとも」


 クロノスは握った酒杯を、自慢するかのようにハーデスへ突き出す。

 ハーデスは少し驚いていた。単純に、酒杯が巨大すぎるからである。

 クロノスはティターン神族と呼ばれる神だ。ハーデスたちとは異なり、巨大な身体が特徴となっている。お陰で酒杯の方も、ハーデスの身体より少し大きいぐらいのサイズだった。


「今日はな、皆で飲んで食べて騒ごうと思ってな。ヘカトンケイル殿も一緒じゃぞ」


「そ、それで姿が見えなかったのか……ティターノマキアを再び起こすんじゃないの?」


「そりゃあただのデマじゃ、デマ。せっかくじゃから息子のお前と飲もうと思ってな」


「我、お酒苦手なんだけど……」


「気にするな、行くぞ!」


 クロノスはハーデス、ペルセポネ、ケルベロスの前に空いた手を差し出す。

 断れそうにないので、二人と一匹は仕方なく父へと乗った。

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