取り戻せアンケート! 2

「ええい、この際一位が誰かはどうでもいいわ。問題は私とアプロディテ、勝者がどっちかってことよ」


「こだわるねえ……って、ヘラはどういう立場でアンケートに入っているの?」


「仲裁に決まってるじゃない」


「――」


 私情混みまくりの仲裁になる予感しかしない。

 そんな無言の抗議を無視して、対策会議は続行する。


「まずはアプロディテの行き先を探るのが重要ね。アタシとしては逃亡先に天界を推すんだけど、アンタらは?」


「んー、我も天界はありえると思う」


「私もです!」


「……」


 アイアコスはだんまり。まあ、同意とみていいだろう。

 ヘラを警戒するあまり部屋の隅にいるケルベロスも、通常の三倍ぐらいは頷いている。頭三つだし。


「仕方ないわね、ここは天界に出向くしか――」


「えー!」


 否定意見を露わにしたのは、無論のことハーデスだった。


「い、嫌だよ天界なんて! ゼウスがいるじゃないか!」


「ゼウスはいま出かけてるっつーの! アンタを咎める奴なんていないから、行くわよ!」


「え!? 行く方向で決定!?」


「当たり前でしょ! 反対するやつなんていないわよ!」


 ジロリ、と周囲を睨みつけるヘラ。

 怯えているのはハーデス、ケルベロスの両名だけだった。ペルセポネは満面の笑みで頷き、アイアコスはそしらぬ顔をするばかり。

 勝負あった。


「よっしゃあ! さあ行くわよ! オリュンポス十二神の居城、天界に!」


「そ、そんな殺生な! セポネ止めてー!」


「嫌です」


「うわああぁぁああ!」


 高笑いするヘラと共に、引き摺られていく冥界王。


「ま、運の尽きというやつですね」


 そんなアイアコスの一言が、むなしく部屋に響くのだった。

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