迷惑千万な女神たち 2

「それってパシリじゃないですかね……?」


「うう……」


 嫁と愛犬の波状攻撃に、反撃の手段を失うハーデス。

 すっかり落ち込みながら、彼はテレビのチャンネルを戻した。こっそりポーズ画面にはしておいたようで、ゲームの進行状況に異常は見られない。


「……でも確かに、放置しておくのもマズイよね」


「ですよね!? これはもう、私達が直に調査を行うしか――」


「け、ケルベロス、お願いできるかな?」


「嫌ッスね」


 玉砕だった。

 しかしハーデスはどうにか解決策を導きたいようで、しきりに喉を唸らせている。


「……?」


 と、部屋の外から足音が。

 誰の者か判別できるような、特殊能力を持ったヤツはこの部屋にいない。しかしは来客の予定はない筈で、二柱と一匹はそれぞれ首を捻った。


「ハーデスちゃん、ハーデスちゃーん!」


「む……!」


 声を聞いた途端、ペルセポネの眉に力が籠る。

 ハーデスとケルベロスも、厄介な吾人が迫っていることに溜め息を隠せない。


「ハーデスちゃんっ!」


「あ、アプロディテ……」


 部屋に入ってきたのは、美の女神。

 三人が同時に悟った。

 ああ、こいつが黒幕なんだろうな、と。

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