夢月七海

「あなた」に必死に語りかける語り手の健気さが、涙を誘います。
そして、語り手の正体が判明した後に、私は罪悪感を抱きました。
読後には「私」のことに思いを馳せる一編です。

静かなバーでお酒と共に広げられる粋な会話、それに続く圧巻のアクションシーンに、非常にわくわくさせられました。 どこを切り取っても、かっこいい！　の一言に尽きます。 ここで終わるのは…続きを読む

少年と少女のやり取りから、二人の関係性が真に迫ってきます。 誰もが「もしも」と思ってしまう後悔を、肌で感じられました。 タイトルとキャッチコピーの意味がラストに分かる構成は非常に見…続きを読む

一人の女性の、訥々としながらも情熱的な独白です。
彼女の紡ぐ言葉に、何も起きていないのにはらはらしながら読み進めていきます。
最後の最後まで、目が離せない一作です。

少年と謎のおじさんとの交流……からの落差がとんでもない一作です。
読後の心にどす黒いものが残りました。
途中の描写もすさまじく、しかし目を背けられずに引き込まれました。

天使のような女性に魅了されて、そのまま彼女の家まで追いかけてしまう少年。 違和感のある描写の中、進んでいく彼が待ち受けているのは…… 様々な予想をしながら読んでいきましたが、それを…続きを読む

ドアに差し込まれた手紙、その内容から、二人の素敵な関係が見えてきます。 謎めいた差出人のことが明らかになっていくと、切なさが込み上げてきますが、ラストは目の前が開けていくような温か…続きを読む

地球外生命体からの独白に、はっとさせられました。
様々なことを考えさせられます。
第二話は、これまで 咖喱家さんの同題異話シリーズを追い掛け続けた方には、嬉しいものがありました。

母親の中学生時代のお友達、面白くて明るい彼女に懐いている家族たち、その風景が、後半でがらりと変わります。 ぞくぞくするような言葉の連続で、前半の方からその不穏さが漂ってくることに気…続きを読む

平安時代が舞台の、能が下地になった物語です。 しかし、堅苦しい所は殆どなく、現代的なアレンジとユーモアにくすりとさせられます。 そして桜の町の情景が非常に美しく、時を超えて桜が愛さ…続きを読む

宇宙の孤独、感情が芽生えてしまった人工知能、ロマンチックでドキドキするワードがたくさんあります。 不可解なバグを見せる人工知能に、人々は戸惑いながらも、「彼」の心に近付いていく予想…続きを読む

気の置けない兄妹の中の良さに、とてもほっこりします。 しかし、さりげない言動の端々には、お兄さんの優しさが現れていて、より和やかな気持ちになれました。 子育てで大変な時だからこそ、…続きを読む

口の悪い猫の語りに、くすりとさせられながらするすると読み終えました。リズム感がとても心地よいです。 ツンツンとしている猫の、デレた瞬間が可愛らしくてたまりません。 奇妙な三角関係に…続きを読む

友人との再会、相手が悩んでいることを察して、感じてしまうぎこちなさ……それらが上手く昇華されていく展開に釘付けになりました。 落ち込んでいる彼女の力になりたいと、無鉄砲に動く主人公…続きを読む

とあるお店の中にいる「私」と彼とのお話を、優しく丁寧に描いていきます。 「私」と彼との関係性が、ささやかながらに幸福に、胸に響いています。 ラストまで全体像が見えない中で進められる…続きを読む

大嫌いだったはずのパールが亡くなった後の主人公の気持ちが、とても丁寧に綴られていて、自分の身につまされるような気分で読んでいきました。 どんな関係でも、別れを迎えてしまった後の感情…続きを読む

高校を卒業したばかりの娘と、その父親との往復書簡です。 短い言葉数の中から見える背景と、深い家族愛に心が鷲摑みにされます。 特に、お父さんからの手紙のラストは、しみじみとした気持ち…続きを読む

ふたつの視点で語られるお話です。一話目で抱いた違和感が、二話目ではっきりする構成には唸ってしまいます。 嫌な予感がずっとついて来るままで読み進めていきました。 男性の目線が妙な説得…続きを読む

入院中の祖母に会いに行く主人公。その率直な気持ちを語っています。 近付いて来る別れに対して、必死に向き合おうとする彼女の姿に胸を打ちます。 章題の「今でよかった」の意味が分かった時…続きを読む

年に一度しか会えない「ぼく」が「きみ」に優しく語り掛けてくるお話に、ほっと心が温かくなります。 その「ぼく」の正体が分かった時に、私は「ぼく」のことをどう思ってきたのかを振り返って…続きを読む

一人の殺し屋の仕事の風景、心情、台詞や回想などから、彼の人となりが良く伝わってきました。 短い物語の中でも、展開が二転三転して、何度もはっとさせられます。 アウトローとして生きてい…続きを読む

元カレと再会した主人公、彼と別れたきっかけと現在の人間関係との中で、彼女が揺れ動いていきます。 彼女の苦しみがストレートに描かれていて、それが彼女をどのように導いていくのかが分から…続きを読む

「死んでいる」はずなのに動いていて、生きているかのように振る舞う死体は、ゾンビとはまるで違ったものとして、生活の中に現れています。 人とはズレている博士と、助手のミギの会話から、こ…続きを読む

父親の趣味である釣りに付き合わせている息子が感じている退屈が、ストレートに描かれています。 インドア派の私は、息子の気持ちに深く共感しました。 寒空の下の、カップラーメンの描写が食…続きを読む

男の家に残された一枚の手紙、そこに描かれていた真実に、はらはらしながら読み進めていきました。 たった二回しか会わなかった男女の、三年間の冬の物語に、身を裂かれるような悲しみを感じま…続きを読む

最初に主人公の右手が冷えているという事が語られ、その理由を丁寧に辿っていきます。 動物好きな彼女との過ごす飼育係の日々の中で、何気なくおしゃべりをしている様子に微笑ましくなりました…続きを読む

雪がゆっくりと積もっていくように、登場人物二人への愛おしさが募っていきます。 なかなか複雑な事情が背景にある二人のようで、それが気になりますが、素直になれなくても幸福そうな二人のや…続きを読む

ファンタジー世界の中で、過酷な運命と正面から戦う二人の姿、主従という一言では言い切れない深い関係に胸を打たれます。 三話完結ですが、くるくると物語が展開するので、ここからどうなるの…続きを読む

病院に運ばれた当時のことを、作者本人の言葉によって語られるので、感情が一直線に心へ入ってきました。 作者さんが回復して、今現在も生活を続けて、さらに執筆活動を行っているという事は一…続きを読む

阪神淡路大震災が起きたその日と、それから丁度二十年後を、主人公の目から描かれています。 人の言動、主人公の考えていること、見えている景色、全てが生々しく、身に迫ってきますたが、目を…続きを読む

変化球のようで直球な、一発で胸の熱くなる物語です。 作中では語られていない部分も、ラストまで読んだ後に色々想像してしまいます。 『怪獣』とか「私」の名前とか、伏せられている部分は読…続きを読む

主人公の語り口やセリフに、強く共感しながら読みました。 思春期の、まだあやふやな自分という不確かな存在を、不意に思いこされます。 何かが大きく変わるわけでもない、でも変化のきっかけ…続きを読む

「バレンタインにバイト先の男の子に、本命チョコを渡す！」というストレートな目標に向かって、頑張る主人公の女の子がとても愛おしくて、素直に応援してしまいました。 登場人物たちの言動も…続きを読む

温度の感じさせない淡々とした語りから、主人公の職業の全貌が浮かび上がってきます。 意外性に驚かせながらも、「なるほど！」と納得してしまいます。 また彼女のお仕事を、一部でも覗き見し…続きを読む

細やかに書かれている、ピアノ曲とチョコレート作りの描写に圧倒されながら読み終えました。 二人の手際の良さに、酔いしれてしまいます。 描写の端々から、二人の仲の良さも垣間見れて、とて…続きを読む

中世イギリスの雰囲気と、そこで生きる人々の姿がリアルに描かれています。 スリとして生きるしかない青年の、苦悩や恋心を十分に描写したうえでの急展開に、やるせないため息が出ました。 実…続きを読む

憧れの先輩と一緒になれて、浮足立っている主人公に微笑ましく読んでいましたが、中盤からラストまでの展開に度肝を抜かれました。 これを踏まえて振り返ると、劇中劇やタイトルの意味も、変わ…続きを読む

奇妙な病が蔓延して、閉ざされてしまった谷、そこに残された手記を元に、物語は進行していきます。 最低限の情報しか提示されていないのに、背景や登場人物たちの悲しみ、苦しみをどこまでも想…続きを読む

見知らぬ路地に雰囲気のあるバーと不思議な空気感が漂うマスター、そんな描写に最初から魅了されてしまいます。 主人公の事情が徐々に明らかになっていく場面には、サスペンスのような緊張感が…続きを読む

人間と会話が出来る機械の腕が出てきて、世界観はとてもSFなのに、主人公の性格や、商店街の人たちの関わりなどと、温かい人と人との交流も見どころの作品です。 人にも機械にも平等な眼差し…続きを読む

大きな出来事があった後の主人公の生活の一コマが、非常に丁寧な筆致で描かれています。 彼とその家族の軌跡などは、必要最低限の語りで留められているのですが、その背景を確かに想像できます…続きを読む

猫ってなんであんなに可愛いのでしょうか。まさに魔性。 自分のビジュアル受けを分かっているんじゃないくらいに、愛嬌を振りまくニャンコにメロメロです。 猫好きとして、その可愛らしさに白…続きを読む

子供心に、俗説に振り回されている「私」へかけてくれた、近所のお姉さんの言葉がじんわり沁み込んでいくようです。 誰かに対する優しさや愛する心を、大きく包み込んでくれるようなお姉さんが…続きを読む

五百文字ちょっとでも、人間ドラマが色濃く描かれていて、ラストにはぐっときました。 一つの回想と台詞のやり取りから、この兄弟の仲の良さが伝わるからこそ、様々な物語の背景を想像させます…続きを読む

運命の巡り合わせ、としか言い表せないような奇跡に、ジーンとしました。 手探りで距離を縮めていく二人が、もどかしくって愛おしくって、キュンキュンできます。 前作を知っている身からする…続きを読む

同じクラスの男の子、雪村君のことが気になる主人公。しかし、話しかけて近付こうとすると、雪村君は逃げてしまって……。 「普通」とは違う事情を抱えた雪村君と、それに対する学校内の反応に…続きを読む

和やかなデートの雰囲気から一転、驚愕の展開に呆気に取られてしまいました 登場人物たちの気持ちが分かってしまうからこそ、ラストにやるせなさと切なさが残ります。 「私」の「それでも」に…続きを読む

東京都内の一軒のバーを舞台に、三人の男たちの緊迫したやり取りが繰り広げられます。 何気ない一言で、雰囲気ががらりと変わる緩急も素晴らしいです。 ラストは痺れるくらいにかっこよかった…続きを読む

バレンタインに交差する、様々な人間模様にぐんぐん吸い込まれながら読み進めました。 主人公と後輩君の行動の理由が、徐々に明らかになる構成の上手さに唸ります。 ここから、恋はどうなって…続きを読む

寒さに倒れた、マッチ売りの少女、彼女を救ったのは…… シンプルな物語筋ながら、強く心に残るメッセージを感じられます。 登場人物たちのような行為をできるかどうか、私たちに問いただされ…続きを読む