母親の中学生時代のお友達、面白くて明るい彼女に懐いている家族たち、その風景が、後半でがらりと変わります。ぞくぞくするような言葉の連続で、前半の方からその不穏さが漂ってくることに気が付かされます。その先が全く見えない恐ろしさに、震えたまま読み終えました。
物語がくるっと反転しました。追い込まれていますね。きっと事件になります。怖いですね。
明るいホームドラマ風のどろどろ怨念譚。いまだに相手をケツ呼ばわりする卑しい人間性も酷いが、ウイルスにとりつかれた細胞のように侵食されていく家庭の様子はゾッとする。そして、元加害者がズタズタに引き裂かれて無残な最期を遂げる姿を舌なめずりして待ち構える自分自身の本心に二番目にゾッとする。
子供の頃の友人と会うと、懐かしくて嬉しくなりますよね。大人になっても何度も会うような人達を見ると、よほど仲が良かったんだろうなと思います。この話の二人も、大人になった今でも月に数回会うほどの仲。いつも楽しそうに、近況や、そして昔の思い出を笑顔で語っています。……片方は、ですけどね。どうしてでしょうね。もう一人の方は、何故か毎回、どこか怯えている様子。仲の良い友達なのになんで?ニコニコ話しているからと言って、本当に楽しいとは限らないのですよ。
よく家にやって来る小桃さんは、ママの中学生の頃のお友達。明るくて優しくて、とてもいい人。なのに、気のせいかな?なんだかママの様子がおかしいような……よく家に顔を出す小桃さんと、ママの間にあった出来事とは?読み終わった後、この二人の交流はいつまでも続くのだろうなと思いました。ネタバレになるので多くは語れませんが、いくつになっても続く、女同士の友情話とは、思わない方が良いかも?ジャンルはホラーですから。