「バレンタインにバイト先の男の子に、本命チョコを渡す!」というストレートな目標に向かって、頑張る主人公の女の子がとても愛おしくて、素直に応援してしまいました。登場人物たちの言動も素晴らしくって、一軒のコーヒー店という狭い世界ならでは絶妙な関係性に、ドキドキしてしまいます。描かれていない登場人物たちの心情や背景など、色んな事を想像させられました。
今年チョコレートを渡せた方も、渡せなかった方にもオススメの短編小説です。バレンタイン小説は学園モノだけじゃない、それを知りました。登場人物の会話、気遣い、距離感から短編とは思えないバックヤードが窺え、各話タイトルにも心地良い仕掛けがあります。とある人物の濃厚な1日で溢れた物語は、まるでショコラティエの一品です。寒い夜にこそ沁みます、是非どうぞ!
シフトイン。 冒頭からのこのヤキモキじれったい感じ。これは恋愛物に必須ですね。ここで読み通すことを決意。 そして……。 ひとところに留まらない主人公の心の揺れ、心情描写と並行するかのようにコーヒー店の業務が描写され、店内であたふたする様子が視覚的に浮かんできます。作者様は実際に業務に携わったことがおありなのかもしれません。結果、ストーリーと心情、情景の美味しい配合となって、物語の完成度を高めています。最後の締めもいい(予想外でした)。「同題異話」の中で一番、「手があたたまる」甘いお話でした。このお話、おすすめです。
ああ……しょっぱい、切ないバレンタイン。どこかおぼえのある感覚に胸がきゅーっとなります。同時に、ここからなにかがはじまりそうなドキドキ感。短編で終わってしまうのはもったいないような、素敵なお話です。
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