五十嵐レオ。
彼はあまりにも完璧すぎる執事。そして誰よりも自身の想いにまっすぐで一途です。
彼が仕えることとなった屋敷、そこにいるお嬢様である結月。彼女は彼の最愛の少女であり、未来を約束していたかけがえのない存在……であったはずなのですが。
待ちに待った結月との再会は、彼にとって驚きと衝撃の事態となります。なんと結月は彼のことを忘れていたのです‼︎
いつか思い出す時は訪れるのか。
心を折られながらも、執事として仕え結月に尽くし、時には全力で結月を守る彼。
この物語はふたりの時にほのぼの、時に緊迫した事態、時に屋敷に仕える召使い達や結月の同級生、五十嵐レオの無二の親友とのさまざまなドラマを紡ぎながらドラマチックに展開していきます。
そしてこの物語の大きな魅力は、もう一度読み返したくなるような、とある大きな仕掛けが秘められていることかもしれません。ネタバレになってはいけないので、詳しくは書けませんが……それはとある登場人物による語りです。拝読させて頂きながら、何度思ったことでしょう『そういうことだったのか‼︎』と。
五十嵐レオの完璧な執事としてのかっこよさ。
結月の純粋さと可愛らしさ、時に見え隠れする翳り。
他の登場人物達の繊細で濃厚な日々と悩み。
どれをとっても魅力的で素敵です。
生まれ変わったら、一度くらいはお嬢様になってみたい。そして五十嵐レオに会いたい。
そう思わせてくれる物語です。
先ず、タイトルにもある『箱』というキーワードに興味をそそられます。
お嬢様と執事にとって、それぞれの『箱』がどのように繋がってゆくのか。
一冊の本を開くような扉ページ、美しいお嬢様とちょっぴり怖い?けれど魅力的な執事が織りなす物語に惹き込まれ、ハラハラ・ドキドキしながら読み進めるのがたまりません。
中盤以降は、二人が幼少期から抱えている環境や鬱屈が恋路の邪魔をします。
彼らを大切に思い、支える人たちの協力のもと、二人の恋路はどこに向かうのか?!
怒涛の(?!)クリスマスを前に、ヒロインの結月が執事に放った切ないセリフ……。
そして執事レオの愛情は揺るぎなく、甘く優しい夜へといざなわれて行く。
キャラの心情描写が光る作者様の力量、ジーンと来るセリフの数々。
作者様、素敵な作品を有難うございます!