「また会いに来たよ」

友人との再会、相手が悩んでいることを察して、感じてしまうぎこちなさ……それらが上手く昇華されていく展開に釘付けになりました。
落ち込んでいる彼女の力になりたいと、無鉄砲に動く主人公の気持ちに自然と心が熱くなります。
友達と疎遠になってきたなーという自覚がある社会人だからこそ、眩しく映るものがありました。

こんな風に言ってくれる友人がいますか？
こんな風に言って会いに行く友人がいますか？

学生時代にはいつも一緒にいても卒業してそれぞれの社会で生活していると会うことも簡単ではなくなります。

会いたいなら連絡をとる。
会いたいなら会いに行く。
顔を見ただけで安心できるでしょう。
そして相手の気持ちに添ってみる。
たとえ短い時間でも「かけがえのない」時間となります。

ひとりでいい。こんな友人がいてくれるのが理想だと思います。
特に大人にはね。

女性同士の友情のおはなしですが、性別に関わらず「友情の理想形」のおはなしだと思います。

大人になると昔からの友人とは会う機会が少なくなったり、価値観の相違が出てきてしまう場合も多いでしょう。
けれど、それは決して友情を弱めるとは限らない。そう教えていただきました。

爽やかでカッコイイ同性の友人が、今日はなんだか弱っている。
それに気づいた主人公は、昔と変わらない優しさを向けます。

何でもできる、と思えた時代。
昔より弱くなったんじゃないか、と思える現代。
二人の言葉がとても優しくて、過ぎた時間を考えると切なくて、でもやっぱり幸せになれる、そんな物語です。


……ちなみに、私が一番気になるのは主人公の運転テクニックでした!!!（かっこつけたのに色々台無し）

女同士というと、どうしてもね、見栄とか嫉妬とかドロドロしたものを想像しがちだと思うんですが、女だってちゃんと育てられるんです友情。と、やさしく伝えてくれる物語です。ぜひどうぞ。

女の友情って、『私たちズッ友！』みたいな、ノリ勢い打算周囲の目等々を考慮しつつのその場限りのもの、っていうイメージがね、あるんですよ。まぁ、私も女なんですけど。
そりゃ男の間でもそういう友情もあるかもですけどね。

でも、もちろんそればかりでもない。当たり前ですが。

ズッ友、なんて軽々しく言わなくても、親友だよね、なんて何度も確認し合わずとも、ずぅっと続いていく友情ってありますよね。小まめに連絡を取れなくても、何かの折に「いま何してる？ちょっと聞いてよー」なんて昔と変わらずに会話が始まったりして。

これはそんな仲の良い女性2人のお話。
優しい気持ちになります。
ぜひ。