本日の「仮想泥棒ゲーム」のタイトルは「それで十分か?」です。内容は読んでいただくとして、中に「それで十分だ!」という言葉も出てきます。芝居がかってる、ということになってますが、芝居ではありません。ある小説の中に出て来るセリフです。それは何か。
舞台はベルギーで、アントワープで、ところどころでその小説から持って来た小ネタを忍ばせていました。「フランダースの犬」です。本文にも書いてますけどね(第2日(5))。年配の人は知っているでしょうが、若い人は知らないかもしれません。その中の、ラストシーンに出て来るセリフが「それで十分だ!」です。原文は著作権が切れているので、引用して構わないでしょう。
Nello rose to his feet and stretched his arms to them; the tears of a passionate ecstasy glistened on the paleness of his face. "I have seen them at last!" he cried aloud. "O God, it is enough!"
(ほぼ自動翻訳)ネロは立ち上がってそれらへ腕を伸ばした。情熱的な恍惚の涙が彼の蒼白な顔に輝いていた。 「僕はついにそれらを見た!」彼は大声で叫んだ。 「神よ、それで十分だ!」
「フランダースの犬」の最終回を知ってる人ならもちろんご存じでしょうが、夜の聖母大聖堂でネロが幸運にもルーベンスの2枚の絵を見たシーンです(本文にも書きましたが、過去には金を払った人しか見せてもらえなかったのです)。この後、ネロは愛犬パトラッシェと共に亡くなります。感涙の一幕ですね。
しかし、「仮想泥棒ゲーム」でこのセリフを言ったのはステファンです。その名前も実は「フランダースの犬」から引用しています。ネロは絵を描いてコンテストに出すのですが、落選しました。そのときに入選したのがステファン・キースリンガーという人物です(たぶん少年)。ネロの最後の希望を奪った人物ですね、「お前が言うな」ってネロは思ってるでしょう(笑)。