12月からミステリーの長編を書こうと思っています。プロットを考えねばなりませんが、今のところ決めているのはとても大まかな流れだけ。事件のぼんやりとした全貌と、何がきっかけで探偵役の調査が始まるか、どのように調査を進めるか…の途中まで。実際のところ、全貌の結末部分があやふやです。そんなオチにしていいのか、という感じ。殺人事件はなるべく起こしたくないですが、殺人にする方がストーリーをすっきりまとめやすいのではないか、と迷っています。殺人が起こってすっきりっていうのも変な感じですけどね(笑)。
ただ、行方不明人捜しや傷害事件よりは、殺人事件の方が読者の興味が強くなるのは間違いないことと思います。有名な「ヴァン・ダインの二十則」でも、第7項に「(前略)殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない」とあります。とはいえ、誘拐事件で人を死なせずしても長編は書けますから、これを絶対に守る必要はないでしょう。ただ、誘拐や行方不明から生還した人が最後に事件の真相を語る、とかだとつまらないのは間違いないです。殺人にするのは「確実な証人が一人消える」から事件の謎が増すという理屈ですね。
それでも殺人事件にしたくない場合「実は事故死でした」というのも有りでしょう。ただしその場合、気を付けなければならないことが一つあります。「最近の事件にしなければならない」ことです。先日読んだミステリーでは、10年前の殺人事件の謎をいまだに警察が追っていて、そこに素人探偵が絡んでいくという筋だったのですが、結末としては「殺人ではなく事故」というのが判明しました。殺人に見えたのは、犯人と思われていた人が、事故の証拠を隠滅したためだったのですね。ところがここで変なことが。探偵は真相を見破るのですが、証拠を隠滅した人になぜか自首を勧めるのです。何が変かというと、事故死の証拠を隠滅=死体遺棄です。懲役3年で、公訴時効は5年です。つまり、10年前なら当然時効で、自首する意味がない。その作者はもしかして「警察が殺人事件として捜査していれば時効はない」と思ったのでしょうか? 犯人は意外な人物で、筋もよく考えられていたのですが、このミスはいただけないなと思ったので、筆者も気を付けることにしました。