先月、「仮想泥棒ゲーム」を書いている時に、1パートの長さの基準とした「4000字」を強く意識していたので、長編ミステリーを書いていても、シーンごとに「4000字より多いか少ないか」を気にしています。別に、気にする必要ないんですけどね。ただ、シーンが短すぎる時は「何か他に書くことはないか?」と考えるので、そこはよかったかもしれません。短いシーンを入れるとしたら、そこで何かを伝えねばならない「必要性」があるわけで、ただの「前後のつなぎ」なら必要性が薄い。何か書きたいことがあるのなら、他のシーンへばらけさせてしまうという手があるのです。そう考えると、プロの作家で「1日の執筆量は約10枚」という方が多いのも頷けます。やはりそれが、読む時の一区切りになるからなのでしょう。
で、「4000字」というのにはもう一つの理由があって、その中で起承転結をつけるのに最低それくらいの量でないといけない、ということです。ショートショートならもっと短いでしょうが、あれは登場人物や状況の説明、描写までも極端に減らして、ストーリー以外は読者の頭の中で適当に補ってね、というものですから、長編小説と同じにはできません。長編(あるいは短編)ではシーンの頭で状況を説明・描写して、それから登場人物の動きを書いて、次のシーンへのつなぎを作り、必要なら余韻を残す。それにはやはり4000字いるわけです。
これを原稿用紙の枚数で考えると、ちょっと変なことになる。最近の作品は改行が多いですから、原稿用紙に書くと空白がやたらと多くなる。400字詰めに200字とか250字しかないような小説があったりする。そういうのが「読みやすい」という人がいるので、筆者は戸惑ったりするのですが、なので枚数よりも字数で計る方が適切だと思うんですね。字数だと、改行や空白は無視されて、文章としての正確な量がわかります。その上で、4000字。あるいは3500字以上、6000字以下くらいでしょうか。それが一つのシーンで適切であると考えるようになりました。