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安楽椅子探偵

「Cool & Sensible 湾岸探偵局!」の主人公は探偵ですが、どちらかというと行動派ではなく頭脳派です。必要とあらば現場に行くのですが、なるべくは思考だけで事件を解決する、という設定にしています。つまり安楽椅子探偵です。本当の安楽椅子探偵は全く出歩かず、人から話を聞くだけ全部解決してしまうんですけどね。でも、そういう意味での真の安楽椅子探偵は、ミステリー小説ではほとんどいませんよね。「隅の老人」が代表ですが、ミセス・マープルですら旅行に出掛けたりしてますし。なぜそうなるかというと、探偵が全く外に出ないと話が作りにくいからだと思います。事件は探偵事務所でなく現場で起こりますから、「現場の状況がどうであったか」を知るのは推理に必要なことです。それを依頼人あるいは探偵の代理人(ワトソン役)が探偵に向かって詳細に説明するのと、探偵が直接自分で見に行くのと、ストーリー上に何の違いがあるでしょうか? 探偵は細かいことに気付きやすいものですが、「現場でその部分はどうなっていたか」を探偵以外が細かく観察してる(あるいは記憶してる)なんて、不自然でしょう。

だから探偵が現場へ行って、自身で確認しなければなりません。そして同行者あるいは警察に対して「あれを見たまえ」と言うわけですね。そこにある何かの意味が、探偵にはわかるけれども、他の人にはわからない、という演出にする。もちろん、細かい証拠物件は警察に鑑定してもらう必要があります(ソーンダイク博士は自分でやってましたが、現代ではそれは無理でしょう)。こうする方が、ストーリーが作りやすいし、流れが自然です。

ですから、「Cool & Sensible 湾岸探偵局!」の第1話から第4話では、探偵は外に出ています。しかし、第5話だけは違うようにしました。事務所から一歩も外に出ていません。真の安楽椅子探偵になったわけです(依頼料を取れないから外に出たくなかったのです(笑))。でも、話としては作りにくかったです。推理もアリバイ調べ(正確には現場不在ではなく、逆にどこにいたかを推理したわけですが)のようなもので終わってしまい、地味でした。次の第6話ではまた外へ出て行かせたいと思います。

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