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台詞はどれくらいリアルにするか

小説の中の台詞は「実際にしゃべるような文章である必要はない」という考え方があるようです。まあ、そうでしょう。演説かプレゼンでもない限り、言い淀みや言い直しするものですが、それをそのまま書いてたらただの水増しになってしまいます。とはいえ、狼狽している様子を「うーん」とか「えーと」で表すのは構わないかと思います。それは表現技法の一つですから。でも、話し言葉らしくする必要はありますね。しゃべる時に妙に難しい漢語は使わないでしょうし、講談のように持って回った言い方をすることもない。そうなると「自然だけれども、完全に自然ではない話し言葉」を書くことになりますが、これは実は難しい。書く人のセンスが問われるところなのでしょう。

あるプロ作家は「台詞の部分は実際に声を出してみる」という技法を開陳していたことがあります。男性作家であるゆえか、「女性登場人物の言葉をしゃべってる時は、家族に聞かれたくない(笑)」とも書いておられました。たぶん、裏声を使ってるんでしょうね(笑)。とにかく、そうやってまで「読むだけでなく、耳で聞いても自然な台詞」を推敲しているということでしょう。これは是非とも見習いたいです(というか、やってますけど)。そのときに、言葉だけでなく、口調も再現してみることが必要だと思います。登場人物の性格に合わせた口調で。そうすると「性格的にはこんな言い回しをしないだろう」というのがわかったりします。筆者の作品の場合では、「Cool & Sensible 湾岸探偵局!」の探偵の台詞は、その「言い回し」に気を付けています。日本人じゃないけど、流暢に日本語を話す。でも、難しい言葉や日本独特のたとえはさほど使わない。この「さほど」がポイントで、言い回しを憶えたら嬉しがって使うような性格ですので、たまには日本人みたいなことも言います。だから、言葉選びが難しいです。

あと、リアルさとバーターになるのが「役割語」です。これは以前にも書いたことがあるので省略。他には「流れ」ですね。実際の会話の時には「聞き直し」や「オウム返し」がよく入りますが、小説では流れを重視するためにやらない方がいいということになってます。ただし、「ここがポイント」というのを示す場合には使うべきでしょう。読み手の目を引くための技法です。「大事なことなので繰り返す」って意図ですよ(笑)。ただ、やり過ぎると「芝居(ドラマ)くさい台詞」になってしまうので、加減が難しいですね。

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