【カクヨム小説創作オンライン講座2019】カクヨムコン歴代応募作品講評会 第7回

11月末より開催する第5回カクヨムWeb小説コンテスト応募者に向けて、創作にまつわる様々なヒントやアドバイスを提供し、スキルアップに役立ててもらう「カクヨム小説創作オンライン講座2019」
その第1弾「カクヨムコン歴代応募作品講評会」、最終回の第7回をお届けします。

※「カクヨムコン歴代応募作品講評会」とは? という方は第1回の記事をご覧ください

第7回 掲載作品

【キャラクター文芸】園児からはじめる! 中世武術がよくわかる本 作者 みやこ留芽
【現代ファンタジー】コンビニバイトをはじめたら、まともな人間が俺しかいないんだが!? 作者 神坂 理樹人
【ラブコメ】幼馴染に告白したいのに、金髪美少女(子持ち)が全力で迫ってくる 作者 向原 行人
【SF】WIZARDWARE魔法戦記「ソフトウェア魔法VS.影の王」 作者 くら智一
【異世界ファンタジー】ダン・ディ!~その男、ダンジョンディガー~ 作者 栄織タスク


【エントリーNo.26 キャラクター文芸
ロングソードと女子小学生
園児からはじめる! 中世武術がよくわかる本 作者 みやこ留芽
あらすじ:
騎士道物語を枕に育った少女は、みずからも立派な騎士になりたいと願い、やがてその舞台としてアーマードバトル(*)と出会います。
そんな少女のもとに集まる仲間。彼女たちを追うナゾの美人記者。そしてライバル。
友情が衝突し、ときに夢破れ、それでも少女騎士たちは『自分だけの騎士道』をもとめ世界へ向けて邁進します。
大股歩きで成長する小さな騎士のガールズストーリー!

※本作品で取り上げる『アーマードバトル』はその日本における唯一のリーグであるJABL(ジャパン・アーマードバトル・リーグ)のルール等々を参考にさせていただいております。カクヨムの規約によりURLを掲載できませんが、興味のある方はぜひ公式ホームページをご覧ください。

◆点数評価:
・オリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点:
日本人にはまだ馴染みの薄いアーマードバトルを主題として、そこから騎士道の振る舞いについて、しいては人生観まで掘り下げたところが興味深かったです。幼い少女とアーマードバトルという一見ミスマッチとも思える組み合わせに意外性がありました。道具についての解説や、試合シーンでの技や駆け引きなど競技としての描写にリアリティがありました。思春期の少女たちの複雑な人間模様や友人関係が描けていて読者の共感を得られると思います。

◆改善すると良くなりそうな点:
ヒロインは多いのですが、もう少し女の子らしい天真爛漫さが欲しかった。キャラクター同士が恋愛関係でドロドロしていて一般読者がスポーツものに期待する爽快感や達成感が薄い。序盤から中盤まで騎士道を描きたいのか、百合を描きたいのか、どちらに着目すればいいのか読者の意識が分散してしまいます。終盤の選抜大会以降のチーム一丸となって目的に向かう勢いは素晴らしかったです。読者が素直に格好良いと思えるキャラクター、熱い試合と爽やかな女の友情という単純明快な面白さ、受け取りやすさをまずは優先してみてください。


【エントリーNo.27 現代ファンタジー
お客様! 待って! 変なのばっかりだけどちゃんとしたコンビニですから!
コンビニバイトをはじめたら、まともな人間が俺しかいないんだが!? 作者 神坂 理樹人
あらすじ:
 憧れの大学生、憧れの一人暮らし、憧れのキャンパスライフ。
 晴れて大学生になった高橋要《たかはしかなめ》はそんな想像とは外れて、入学早々ぼっち街道まっしぐら。何かを変えようと思っていた矢先に見つけた好条件のコンビニバイトを始めることにする。
 まったく客が来ないコンビニ、バックヤードで生活している店長、働かない女子高生、難しい言葉を並べる少女、小学生にしか見えない自称淑女。
 このコンビニ、もしかして何かがおかしい!?

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:3
・キャラクター:4
・ストーリー:2
・世界観:2
・文章力:3

◆良かった点:
コンビニという身近な場所を舞台としながら、人間以外の存在がたむろする奇妙な空間を演出できており、終始楽しく読むことができました。最初はコンビニバイトで唯一の人間だった要ですが、話が進むにつれて実はこいつが一番おかしいのでは?となっていく展開にも笑わせてもらいました。
店長を始めどの店員も非常にキャラが立っており、店員としてはダメダメなのだけど人間(?)的には憎めない人ばかりで、どのキャラにも好感が持て、彼らと要のやりとりも楽しく読むことができました。こうしたキャラクターを魅力的に見せるセンスは大きな武器となるはずです。

◆改善すると良くなりそうな点:
コンビニ経営の話なのですが、肝心のコンビニに関するエピソードが弱く感じました。別にコンビニ経営が成り立たなくても作中人物は誰一人困らないこともあって、極端な話、本作の舞台はコンビニじゃなくても成立するように感じられました。せっかくコンビニを舞台にしたのであれば、コンビニでの仕事内容をもっと掘り下げつつ、それを上手くキャラクターの個性と組み合わせることで、ただのコメディで終わらず、お仕事ものとしても更に魅力のある作品にできたと思われます。


【エントリーNo.28 ラブコメ
幼馴染の事が好きだから、僕は昼夜問わず迫ってくる金髪美少女に負けない!
幼馴染に告白したいのに、金髪美少女(子持ち)が全力で迫ってくる 作者 向原 行人
あらすじ:
幼馴染の明日香の事が好きな僕――川村優斗が長年の想いを伝えようとした所で、見ず知らずの金髪母娘に突然抱きつかれた。
「パパー! だっこー!」
いやいや、僕はまだ大学生だし、結婚なんてしてないから。
「優ちゃん。ウチ、二人目は男の子がいいなっ!」
服っ! 何でも良いから服を着てっ!
明日香と一緒に居る時に、突如現れた金髪母娘。
全く身に覚えがないのに、いきなり僕の妻と娘だなんて。そんなの、ありえない。
しかも濡れ衣なのに、保育士を目指す妹の言葉で家に居候させる事になって……金髪美少女が昼夜を問わず迫ってくるっ!

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点:
最初からクライマックスなドタバタ感、まさに掴みは完璧です。冒頭部というのは作品の顔。それがよくなければその後ずっと悪印象を引きずることになります。ページをめくりたくなる美顔でした。
そしてライトで読みやすく、さらさら読み進められる文章もいいですね。読者を選ばないとっつきやすさは強い武器です。さらに研ぎ上げていただければ。

◆改善するとよくなりそうな点:
悪くないけれども突出したものがない。それが全体の印象でした。
王道とはそれだけ多くの人が好むと同時、戦わなければならない敵(応募作や既存作)も多いものです。その中から勝ち上がるには、「これだ!」というものが必要不可欠。
女子キャラというプラス要素を重ねるばかりでなく、そうしたプラスを丸っと覆すほどのマイナス要素――あくまで一例ですが、主人公が宇宙人しか愛せないキャラだとか、ハーレム作りへ挑まずにいられないチャレンジャー過ぎる男だとか――を物語へぶち込んでやるなど、ギミック部分での工夫をしてみてください。

さらに、諸々の進行や描写をセリフに頼る部分が大きく、特にキャラの心情描写が薄いことも課題点。地の文章を活用することもそうですが、軽妙さを増すためにそれぞれのキャラクターの内側を表わせるセリフというものについても考えていただければ。


【エントリーNo.29 SF
IT技術 × ファンタジー = 新感覚!文芸技術書エンタメ
WIZARDWARE魔法戦記「ソフトウェア魔法VS.影の王」 作者 くら智一
あらすじ:
 青年アキムは結論を迫られていた。上空に浮かぶ「影の王」の輪郭――真球の姿をした巨体、圧倒的殺戮能力を持つ人類の宿敵は、現在100年の眠りについていた。目覚めるまでの期限はあと12年。一度は滅亡の危機に瀕したレジスタ共和国は対抗策を講じていたが、武器は「魔法研究所」が開発を続ける魔法弾のみ。木々を揺らすだけの弱い光の塊に比べ、敵の大きさは直径50メートル。巨大さから「第3の天体」とも喩えられる。
 彼は無理難題を解決する為、戦闘中とある知識に目をつける。別の世界に存在すると文献に記載された「ソフトウェア」と呼ばれる情報技術だ。世界を仰天させるアキムの謎解きが幕を開ける。

★主人公が「魔法弾」と呼ばれる小さな光の塊を、ソフトウェア(C言語プログラミング)の仕組みと独創的な発想で拡張させ、巨大な敵と戦う物語。ページをめくった瞬間、ファンタジー戦記&SF&ミステリーの複数ジャンルを網羅した新しい世界が飛び出します。徐々に明らかとなる敵の正体と世界観の謎……。ラストまでどうぞお楽しみください。
★本作は情報技術を嘘偽りなく魔法とファンタジーで表現したITの手引書でもあります。読み進めることでコンピューターやプログラミングの「コツ」(=知恵・知識)を習得できます。

◆点数評価:
◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:4
・キャラクター:2
・ストーリー:3
・世界観:3
・文章力:3

◆良かった点:
主人公たちの使う魔法を、実際のプログラミング言語をモチーフにして改良していくというプロセスが面白かったです。トライ&エラーを繰り返しながら、着実に一歩ずつ進んでいくという展開は読んでいて楽しく、また中盤で主人公がどん底に叩き落され、さらには人類そのものが滅亡の危機に瀕しながら、それでも再起しようと立ち上がるという展開は非常に燃えるものがありました。
また主人公たちが敵対する影の王の正体とその対処手段が、これまでの伏線を上手く使っていながら予想外な展開もあって、面白かったです。

◆改善すると良くなりそうな点:
最初に使用できる魔法が「魔法弾を発射する」という形式に固定されているため、魔法の改良の方向性も「いかにして魔法弾を効率的にパワーアップさせるか」に固定されてしまっているのが残念でした。もう少し魔法士の力を柔軟なものにできれば、話の幅もより広がったと思います。
また主人公であるアキムはよく書けていると思うのですが、サブキャラクターはやや弱いように感じられました。アキムに最後まで肩を並べて戦うような戦友がいなかったのはちょっともったいない気がします。またライバルであるデスティンにしても、最初はアキムを認めていたがアキムの研究が評価され始めるとその功績を妬み始めるといった具合に、精神的な落差を加えるとより人間味が出るのではないでしょうか。


【エントリーNo.30 異世界ファンタジー
ダンジョンほろうぜ(物理)
ダン・ディ!~その男、ダンジョンディガー~ 作者 栄織タスク
あらすじ:
アンタが新しいダンジョンマスターかい?
俺の名はコージ。ダンジョンディガーだ。
アンタのサポートをするためにやってきた。よろしくな。
いいダンジョンにするのも悪いダンジョンにするのもアンタ次第だ、頑張ろうぜ。
準備はいいか?
よし、ではコレを使ってくれ。
……これが何かって?見て分からないか、スコップだよ。
おいおい、何言ってるんだ。
俺とアンタで掘るんだよ、当たり前だろ?

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点:
これ以上飾れないほどに「いいネタ」でした! ダンジョンを掘るという、ひと言で説明しきれる上にひと目で続きが読みたくなるテーマもですが、そこに留まらずダンジョンとはなんぞやまで持っていく展開、一気に惹き込まれました。
そしてキャラクターにもそれぞれ味わいがあり、特徴的な語尾やしゃべりかたではないのに、セリフを見ただけで誰がしゃべっているのかわかるほど強い個性があったことも評価点です。

◆改善するとよくなりそうな点:
セリフ頼りなことが最大の問題点です。
説明を含めてほとんどのことがセリフに収められていることで、キャラクターの心情表現が非常に薄くなってしまっているのです。せっかくいいキャラがいるわけですので、説明ゼリフを減らし、その分、背中や表情で語らせる――地の文章で表現する――ことを意識してください。
一人称や三人称の違いによらず、地の文章は状況を説明するばかりのものではなく、キャラの内面を読む側へ伝えるツールです。有効に活用し、物語を盛り上げていきましょう。

三点リーダー(……)の多用には注意してください。間を作るのに便利なものですが、文章やセリフ表現の工夫に繋がらず、結果的に物語を拙いものにしてしまいます。
“!”や“?”の後はひと文字分空けるという文章作法にもご注意を。