概要
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ただ一つの主題へと収束していく気持ちよさ
※最終話までのネタバレを含みます。
このお話の上手い部分はいくつもあるのですが、回収する伏線としない伏線の取捨選択の上手さが特に際立つように思います。
読んでいるとかなり早い段階で、主人公の「少年」の出自について、たぶんそうなのだろうなという伏線がしかれています。実際に私は、最終的にはこれが回収されて、エヴァンジェリンと幸せになるのだろうな、という幾つもの意味で甘い予想を立てていました。
しかし、結果としてはこの伏線は回収されませんでした。物語はそれよりも重要な主題へと収束していったのです。
この収束のさせ方が秀逸で、少年の周りにいる少女たちや女性たちは、最終的に私と同じ甘い予想…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これはきっと「いけないお話」だけれど、それでもいい?
入ってはいけない秘密の部屋があって、そこを覗き見しているような背徳感。
ひとことで言うならそうなります。秘密の部屋。もしそんなものがあったら覗きますよね。中に広がっているのはきっと知らない光景で、でも想像のつく部分もあったりします。扉の向こう、漂ってくるのは甘い匂いと、あとおしゃべりに興じる女の子たちの声。
もっとも、これはあくまで例えですから、本当はお部屋どころかお屋敷なのですけれど。
これは拾われた少年のお話です。少年が、大きなお屋敷に暮らすお嬢さまに拾われて、その恩に報いるためメイドとしてご奉仕する物語。身も蓋もなく言うのであれば、いわゆる『男の娘』もの、みたいな感じになるの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!静謐な筆致で描かれるフェティシズム
(1-05 エヴァンジェリン(2)まで読了)
まず最初に断っておくと、本作を読んで「あっ、なんかエロい」とか「道を踏み外しちゃうかも」とか「なんかに目覚めそう」みたいなことをあなたが考えた場合、それは作者が変態なのではなくてあなたが変態なのである、ということを先にお伝えしたいと思います。
冒頭から淡々と、それでいて情感豊かな文体で描かれるアンビエントな世界観に引き込まれました。
現状は館の中の描写のみにとどまっていますが、今後の展開で広がっていく作者の思い描く世界がどのように広がっていくのか、興味がつきません。
余談ですが、筆者のレビュー(拙作もレビューしていただきました。ありがとう…続きを読む - ★★★ Excellent!!!飛び交うメタファー
1-05 エヴァンジェリン(2)までのネタバレと本編の考察を含みますのでお気をつけください。
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本編の紹介文に記されているところの「少年」という二文字を見落としてしまったら、しばらくは主人公の性別を判別することに苦労するだろう。作者は容赦なく主人公の少年からその出自、記憶、しまいには性別すら奪い去った。
「髪の毛を売って稼いだお金は、
使うこともできず大人たちに奪われ、」
この冒頭の二行で、いきなり少年が性的倒錯を経験していることを示して以降、あらゆる場面で少年が少女として過ごすことが暗黙のうちに決まっているかのような局…続きを読む