外伝 女の子には秘密があるんですよ(???視点)
※この物語は
「――皆~,お待たせ~」
車を駐車場に置き,駆け足で待っていた4人に私は合流した。
「しおちゃん,
「う~ん,
「
羨ましそうにする
「う~ん,私もそう言ったんだけど身内を優先してって言われたから」
「でも,お姉ちゃん。ハル君ってド変態だから……アンちゃん?」
「……
「えっ?」
不思議そうにする
「
「
「えっ!?」
同じように不思議そうにした私を見て
「にゃはは……いや~,はるるんって学園ではそんな風に思われてたんだ」
「そういえば,
「ん?中学の頃からだよ~。あかりんとは小学校の時からだけど……しかし,この子は本当に昔に比べて成長したよね~……ほれほれ」
「ひゃんっ!?アンちゃん!?何処触って……んんっ……」
「!?あかりん,また大きくなってない!?まさか,もう委員長に――」
「アンちゃん!!!」
いつものようにじゃれ合う二人を見て私は乾いた声で笑ってしまった。
――ただ,男の子がいる前でそのようなことは駄目だと思うので後で軽く叱っておこう……鼻血を出して手で押さえている
「――あら,皆さんお揃いましたか?」
自動ドアから星稜学園の制服に金髪の縦長ロールに赤い扇子という異世界漫画に出て来そうな人物が私達の前にやって来た。
「
「そうですわよ。お父様に
持っていた扇子を畳むと彼女は
「
「あの,
「自分も怪我したといってもこれくらいです。流石にあれほどの罰は――」
「そうはいきませんわ」
頭を上げると持っていた扇子をバシッと反対の手で掴むと溜息を吐いた。
――今にも折れそうに持っているのを見ると相当怒っているらしい……。
「あの子がこれで大きな問題を犯したのは3回目――流石にお父様とお母様の堪忍袋は限界ですもの。最低限の生活の援助はしますが,本日付けであの子は天王寺家から勘当です。一度,世間様を自分の目で見て来るべきですわ」
件の女の子……
勿論,
――だが,彼女のご家族に至っては違っていたらしい。
問題が問題であるため,親御さんには嘘偽りなく事実を報告して私自身も謝罪さえしてくれたらそれでいいと考えたのだが,予想の斜め上を行く事態になったのだ。
「ここだと他の患者さんにご迷惑になりますわね。移動しながらお話しましょうか」
彼女がそう言うと私達は彼女のご家族が運営する
「
「先程も言いましたが,あの子が大きな問題を犯したのはこれで3回目だからです」
彼女の妹さんは小学校の頃から素行がかなり悪かったという。
ただ,大きな問題もなかったので目を瞑っていたのだが,中学生の頃に両親ですら見過ごすことのできない大きな事件を起こしてしまったのだ。
「どんな事件を犯したんですか?」
「複数人を率いてクラスメイトの男の子を虐めて監禁したのです。学校の屋上の清掃ロッカーに1日中閉じ込めて」
「「っ!?」」
「幸いにも翌日には見回りをしていた先生に助け出されましたが,その男の子は酷く怯えて半年間は不登校になりました。それ以外にもあの子は在学していた中学校で家の力を見せ付けて色々と悪さを……」
当時のことを思い出したのか彼女はまた怒りを露わにしていた。
「……ふぅ~……お父様は激怒して今まであの子に迷惑を掛けていた方々に謝罪をしました。勿論,あの子は別の中学校に転入させました。そして,2回目が……」
「――誠央学園で
「ええ。そちらについては同じ誠央学園の方々がお詳しいですわね?」
私も
それほど彼女達が誠央学園で行っていた問題は大問題であったのだ。
「星稜学園に編入する時に今度同じことをしたら家を勘当してもらうと温厚なお母様にすら言われていたのに……あの子は……」
「
大きなため息を吐く彼女に私は声を掛けることが出来なかった。
**************************
「――
「本当に……申し訳ありません」
「お顔を上げてください!何度もいいましたが,私達はもう――」
院長室に通されて
そんな光景を私達は別で用意されたソファーに座りながら眺めていた。
「何かさっきから謝ってばかりだな」
「俺もそこまで謝ってもらわなくてもいいと思っているんだが……」
双子の兄弟はお互いの顔を見て苦笑していた。
「もしかして,
「あかりん,
事情を知らないあかりんに私は簡単に説明をした。
実はこの地域と周辺地域は昔までは
「
「そそ。
「何で
「
溜息を吐いた委員長は続けて自分達の家系のことを話してくれた。
彼等の両親は普通の暮らしをしているが,祖父に至っては例外であるらしい。
今でも地区周辺の一部の土地を所有しており,彼等のお爺さんの一言でこの地区に限っては再開発がストップするほどの発言があるのだ。
――故に大病院の院長だろうと
「そして,大問題なのが――爺さんは俺と
お爺さんには数人の子供はいるが,孫息子は
そのため,お爺さんはふたりのことをかなり溺愛しているらしい。
「特に大変だったのが俺が小学生の頃に大怪我をしたことだよな。あの時は爺さんが血相を変えて――」
「
「えっ?それって――アンちゃん?」
委員長の態度が気になったあかりんを私はそれ以上は聞いて駄目だと止めた。
私は調べて知っているけどあまり気分のいい話じゃないからだ。
「……
「ん?何か言った?」
「何でもないよ~。んじゃ,私は別室にいるあの子の様子でも見に行こうかな」
「あら?あの子に何か用事でも?」
近くに座っていた
「う~ん,元々あかりん達は私が原因で巻き込まれたんで……」
「なるほど……あの子から詳しい事情は聞いておきたいと。いいでしょう」
そう言って先輩はあの子がいる別室へと私を案内をしてくれた。
「この部屋ですわ。今は大人しくしてますけどあなたの顔を見たら暴れるかもしれません。危険と感じたら外にいる警備員を呼んでください」
「は~い!先輩,ありがとうございます!」
先輩にお礼を言って彼女が居なくなることを確認すると私は部屋の中に入った。
「――誰……って,
殺風景な部屋の中に机と椅子が1つずつ――娯楽もなくお嬢様である彼女に取っては非常に窮屈な場所だろう。
「いや~,本当に何も置いてないねぇ。これは酷い」
「何よ!私を笑いにきたの!?」
「ひぇ~,怖い怖い。それだけ元気そうなら大丈夫かな」
私は彼女に近付かず壁にもたれながら彼女を見つめた。
「言っておくけど私が勘当されたからって状況は変わらないわよ!学園に戻ってあんたをあの子の下に連れて行けば――」
「あの子が自分を家に戻すように動いてくれる……でしょう?あのね,本当にあの子がそんなことをすると思っているの?」
「――えっ?」
私が何でそのことを知っているんだと不思議そうにしている彼女に私はゆっくりと近付いて真実を話した。
「教えといてあげる。あの子は最初からあなたを捨てるつもりで差し向けてたのよ」
「そ,そんなはずないでしょう!?だって,私はあの子のために多額の……」
「親に黙って病院のお金をあの子に提供していたんでしょう?苦学生達を自分の手駒にするために資金が必要だったから」
「!?どうしてそれまで――!?」
慌てて口を押えたがもう遅い――私はスマホを取り出すと録音機能を終了した。
「はい,言質取った!駄目でしょう,そういうことは喋っちゃ」
「そ,それをどうするの……?」
「どうするって……まだこの話ってご両親にバレてないんでしょう?流石に額が物凄いから何れバレるとは思うけど傷が浅い内に――」
「
彼女は必死に私に縋って来た――予定通りではあるが本当に簡単過ぎる……。
「大丈夫よ~。親御さん達には言わないから。あと,これも渡しておくね~」
「えっ?」
彼女に通帳を渡すと中の額を見て彼女は目を見開いて私を見た。
「それだけあれば病院から盗んだお金は戻せるでしょう?あと,少しぐらいなら親御さんから毎月貰えるお金と合わせて贅沢は出来ると思うよ~」
「ど,どうしてこんなことを!?私はあなたを……」
「そりゃあ,やって欲しいことがあるからね~」
ニコニコと笑いながら彼女の前にしゃがみ込むと私は普段とは違う顔をした。
「愛菜を私の前に引きずり出しなさい。それから――」
私が続けて話した内容に彼女は信じられない顔をして拒否しようとしたが,逆らうことも出来ず,彼女はただ私の命令に頷くことしかできなかった。
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