第15話 誠央学園の赤松先輩
「やっと見つけたよ,
「
珍しく溜息を吐きそうにもなりながら肩を落としていた。
人懐っこい彼女がここまで毛嫌いするとは余程関わりたくない相手なのだろう。
「そんな言い方は失礼だな。俺はただ君に愛の告白をしに来ただけなんだから」
――ナルだ……絶対この人ナルシストだ。
直観的にこの男性には関わってはまずいと思い,ふと周りを見渡すといつの間にか周囲にいた人達が居なくなっていることに気付いた。
「あれ?周りにいた人は?」
「
よく見ると困ったような顔をしているスタッフさんが男性達に囲まれており,遊んでいた子供達の何人かは下がらせていた男性達に抗議をしていた。
あれって営業妨害にならないのかなと思ったが,それよりも先程から出ていた
「
「おや?俺を知っているのかな?いやはや,有名人は本当につらいものだよ。」
絶対この人ナルシストだろうと僕は確信してしまった。
「
「10回!?」
この人は
それに、10回も断られているのならいい加減諦めると思ったのだが……。
「
「そ,それは向こうが忙しいからであって……」
「やれやれ,困った子猫ちゃんだ。俺の何がそんなに気に食わないんだ?権力と財力もあるし,君が欲しい物なら何でも買ってあげられるんだぞ?君のような一般庶民の子に取って今まで以上に贅沢ができるというのに何か不服でもあるのかい?」
彼の言葉を聞いて僕は少し考えると隣にいた
「
「……何かしら?」
「さっきから話を聞く限り,あの人って誠央学園の先輩さんなんだよね?
僕が言ったことは一番言われてほしくない台詞だったらしく溜息を吐くと少し怒り気味に先輩に抗議した。
「
「ん?誰かと思ったら
話を全く聞いていない彼を見て僕は珍妙な生き物を見るよう目な目をした。
「
「……僕,まだ何も言ってないよ?」
僕の表情から同じ学園の出身者と思われたくなかったのだろう。
僕に対しても強い口調で言うとそんな二人のやり取りを見て不思議そうにしている目の前の男性を今度は睨んだ。
「本当にいい加減にしてください!どうしてそんなに
「そんなの彼女が好きだからに決まっているだろう?それに彼女はミス
先輩の話を聞けば聞くほど頭が痛くなり僕は片手で頭を抱えた。
それは隣にいる
――というか,そろそろ
「
「そんなことはないさ。だが,俺達はお互いに選ばれた者同士なんだ。そんな二人が共に歩むのは浪漫があると俺は思うよ」
最早,この先輩とは話をするだけ無駄ではないかと思って来た。
――だが,彼が
先輩が先ほどから選ばれた者同士と口にしていたこと――
そして,
「(正直,政府に関りがある人とあまり問題を起こしたくないんだけど
家同士の繋がりもあることを考えると第三者が何とかした方がいいだろう。
仕方がないと思い,僕は先輩と
「
「ん?何だね,君は?」
「星稜学園の
挨拶すると取り巻き達に警戒をされたが,
「すまないが,これは君のような一般庶民には関係のない話だ。
「そうですが,彼女が困っていると思いまして。それに彼女も先輩みたいな人はタイプじゃないと思ってますよ?」
「――何?」
「か,
「それと,
「「!?!?」」
「お,お前!今の言葉は訂正しろ!
「そうだぞ!
必死に抗議をする取り巻き達を他所に
「ふ,ふふふ、構わないさ別に。所詮,俺と比べて何も持ってなさそうな君に言われたところで痛くも痒くもないことだ。俺なんていくらでも女性と……」
「それから,僕は
「うぐっ……」
「あと,自慢じゃないですけど顔も良い方だと思っていますし,それなりに女子と遊んでいますよ?何なら先輩にも紹介しましょうか?あ,それとも女の子と遊んだこともないからやっぱり恥ずかしいですか?大丈夫ですよ,僕の女の子の友達って先輩みたいな初心な人でも優しく対応してくれる子達ですから」
「な,な,な……」
「プッ……」
色々と先輩を煽っていくと隣にいた
煽られていた光景が余程面白かったのか,
「さっきから
取り巻きの一人が
「何するんですか!?離してください!!私は先輩達と行きませんから!!」
「おい,あまり彼女に手荒な真似はするな!彼女に傷が付いたらどうするんだ!」
「ですが!」
「言い返せなくなった途端に強引になるんですか?先輩って子供みたいですね」
腕を掴んだ取り巻きの人を見て僕が呆れた口調で言うと,彼は
「お前!
「僕は先輩に言ったんですよ?もしかして,先輩達もそういった経験ないとか?」
「!?貴様!!」
「
煽られて我慢の限界だったのか,取り巻きの一人が僕を殴り掛かろうとした。
それを見た瞬間,
しかも,今にも腕が折れそうな強さでその男性を睨んでいた。
「イテテテテ!?折れる!折れる!」
「貴様……王子に何をしようとしてたんだ?」
冷めた口調でその男子生徒は僕を殴ろうとしていた彼を足払いをして地面転がすと腕を後ろに曲げて彼の動きを封じた。
一瞬の出来事で一部の者達は青ざめて驚いた顔をしてしまった。
「王子,ご無事ですか?」
「大丈夫だよ――と,言いたいんだけど
「勿論,私もいますよ?」
声をした方を振り向くとそこには薄い青髪の義妹が満面の笑みで鬼の形相をした同じ制服を着ていた男女達を数名ほど従えていた。
「御姉様,お怪我はありませんか?」
「ユフィ!?来ていたんだ!」
「はい。それと――来ているのは私だけではないんですけどね」
そう言って
「おやおや,何か騒がしい声が聞こえると思ったら
「……えっ?」
そこには,誠央学園や星稜学園の制服を来た学生達と一緒に一人だけ皆と違う制服を来た少し小太りな男子生徒がにこやかに手を振っていた。
「「し,
「やあ,皆。一体何をしているんだい?」
そんなにこやかに笑う彼を見て驚いている
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