第7話 洋食レストラン【グリルローズ】
「えっ!?僕のアルバイト先に行ってみたい!?」
HRが終わり,あとは帰るだけになった教室では既にグループに分かれて何処かへ遊びに行こうかとクラスメイト達が話し合っていた。
勿論、それは僕達も同じことであって……。
「だってぇ,先程あかりんが言ってたこと気になるもん!」
「そうよね。それに,あの子も一緒に住んでいるんでしょう?」
それは,先程一緒に校内を回ることが出来なかった
「
「まあ,人並みには得意だよ」
「「何処が!?」」
「二人は知っているのか?」
「知っているよ。中学の時によくお菓子とか作ってくれたもん」
「あれはどう見てもお店レベルの味でしょう」
その言葉に
――という事情があり,僕達は現在,アルバイト先という名の僕の居候先に5人で向かっている最中であったのだ。
「この子が
「でしょう!
歩きながら
「なあ,
「洋食屋さんだよ。両親が学生時代にお世話になったらしくてね。星稜学園に入学する時にこっちでマンションを借りようかと探していたら部屋を貸してくれると言ってくれたんだよ」
本当はアルバイトもしなくていいと言われているんだが,タダで住まわせて貰っているのに甘えるわけにはいかない。
義妹は風紀委員会の仕事で忙しいこともあって時間がある時は義妹の分までお店の手伝いをよくしているのだ。
「なるほどな。――で,色々と教わっている内にその歳で厨房の副料理長ぽい位置になっていると」
「そうなんだよね。店長からお店を継がないかとまで言われているんだよ」
「凄く気に入られているのね」
「そういえば,みはるんの家も洋食屋さんだったよね?」
こちらの話を聞いていた
「
「実は父方の祖父が元々は洋食屋さんを営んでいたんです。母方の祖母は常盤女学園の理事長を務めていますけど」
所謂逆玉――というわけでなく,話を聞くと母親が父親に惚れていたらしい。
幼少の時に偶然,街中で出会い,身分の違いから結婚は難しいと思われていたが,父親は力を示し,常盤家の者達を納得させたという。
「みはるんのお父さんって凄いよね。
「
「そうよ。お兄みたいに強面だけど凄く優しいから。……お兄には厳しいけど」
義理の娘に優しくて実の息子には厳しいらしい。
まあ,その厳しい理由は僕も知っているから何も言えなかった。
「あ,もうすぐ着くよ」
僕の言葉を聞いてお店を見ると――4人は絶句してしまった。
「
「えっ?そうだけど?」
何故か4人はお店を見て開いた口が塞がらないような顔をしていた。
――洋食レストラン【グリルローズ】
地域でも有名な洋食店でもあり,名前の通りグリル料理が名物のお店であったが,今では色々な洋食を出す名店として地域のお客さんから人気を集めている。
「ちょっと,
「
「そうだよ?」
開いた口が塞がらなくなってしまった
「あら~,
「
「構わないわよ~。それで,お友達っていう……のは……」
お店から出てきた女性は
そして,今度は僕の顔を見ると血相を変えて肩を掴んで慌て出した。
「
「
綺麗なお姉さん,とても60歳前後に見えない
「何ぃ!?ハル坊がハーレムだと!?」
「「何だとぉぉぉ!?」」
何故か厨房にいた店長らしき人や他の男性スタッフ達も
「
僕が怒鳴っている横で
「
「……お久しぶりです,お爺様。それに,お婆様も」
――えっ?
聞き間違えでなければ,お爺様とお婆様と言っていたような気がしたと思っていると
「
「はいぃぃぃぃぃぃぃ!?」
驚愕の真実に僕の声がお店周辺に響き渡ったのは言うまでもなかった。
**************************
「悪いな,
「いえ,気にしていませんから――って,お爺様!!
軽く頭を下げる
「
「はい。色々と無茶をしていますが,楽しく学園生活は送っていますよ」
「お婆様も自己紹介をしていないで答えてください!!」
初対面であった
「いや~,ハル坊の父親が昔馴染みでな。偶然,家族3人で街中を歩いているのを見掛けたら物件を探しているって聞いてな。我が家を紹介したんだよ」
「
「ああ。正確には――おっと,この話はシュウ君としない約束だったな」
気まずそうに僕の顔を伺うと僕だけでなく
「悪いな。ハル坊の父親からその話は時が来るまで息子にも教えないでくれと頼まれているんだ」
「そうなんですか?」
父親に何度尋ねてもこの質問だけは時が来たら話すとしか教えてくれないのだ。
「しっかし,ハル坊が
「僕は
――どちらかといえば,僕が驚いているのはそっち方だ。
要するに
僕も一度だけ
「(その点,僕の師父や教官は気さくな人だったな。……あの人が誠央学園で教師をしていることも驚いたけど)」
「ところで,
「問題ないぞ。下ごしらえも終わってるからな。そろそろ17時になるから店を開けるつもりだが,
――カランカラン。
「ただいま戻りました」
「あ!?この声って――」
聞いたことのある声に
今日は後ろ髪を上下にわけて結ぶ髪型,ハーフクラウンアップにしているようだ。
「おかえり,ユフィ。今日も風紀委員会のお仕事お疲れ様」
テーブルから立ち上がり義妹にねぎらいの言葉を掛けた。
「兄さん,帰っていらっしゃったんですか?それに……」
「ユフィ!!久しぶり~!!」
義妹が言い終わる前に
そんな彼女を見て
「こらぁ!驚いているでしょう!……久しぶりね、
「はい,
相変わらずの呼び方に僕と
「
初めて義妹に会う
まあ,異性問わず義妹を見た人はまずそんな顔をするだろう。
驚いている彼女に僕は義妹を紹介しようと思った。
「
「兄さん」
「ん?――えっ!?」
急に呼ばれて振り向くと義妹は顔を俯いていた。
しかも,只ならぬ雰囲気を出しながら……。
「……その可愛らしい女の人は誰ですか?」
「誰って新しく編入して来た誠央学園のクラスメイトだけど?」
「誠央学園……そういえば,今日編入してきてましたね。……もしかして,兄さんの彼女さん何でしょうか?」
「か,彼女!?」
義妹の言った言葉に
その顔は,目のハイライトが消えて不気味な笑みを浮かべる,まるで何処かのヤンデレヒロインのような表情で僕を見ていた。
「私という義妹がいながら別の女の子に手を出したんですか?」
「ゆ,ユフィさん?僕と
――と,彼女は急に制服の袖から研ぎ澄まされた光る刃物を取り出した。
「兄さんの浮気者!!〇んでください!!」
彼女はそのまま僕にザクッとそれを突き刺すと,僕は勢いよく突き刺された反動で顔を顰めるとグフっと吐血しそうになった。
「きゃあぁぁぁぁ!?
急に起こった惨劇に
――だが,何故かその光景を見て
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