第13話 お嬢ちゃん,ここでは呪文を受け付けてないよ
「――このお店だよ」
案内されたお店を見ると
まさか,
「ねぇねぇ,
「店員さんに注文するよくあるお店だよ。
「別にいいんじゃない?それよりも,早く入りましょう」
入り口で立ち止まっていたら他のお客さんに迷惑と思ったのだろう。
僕達は早々にお店に入るとお店は開いたばかりなのかお客さんはまだ入っておらず一番乗りであった。
「「いらっしゃいませ~!」」
「へぇ~,店内ってこんな風になっているんだな」
田舎から上京して来た若者みたいにキョロキョロと興味津々に
「兄ちゃん達,ここ来るの初めてかい?」
「ええ。星稜学園の運動部から聞いて来たんですが……」
「星稜学園の学生さんだったのかい!これはサービスしないとな!」
「「サービス?」」
――商業施設【スターライトモール(略称名:スタモル)】
そして,星稜学園を運営している
「テナント料を安くする代わりに星稜学園の学生にサービスをして欲しいって頼んでいるんだよ。だから,放課後になると星稜学園の学生達がよく遊びに来るんだ」
「
「まあ,それ相応のメリットがあるからなんだけどね。それよりも,他のお客さんがが来る前に注文しちゃおうか」
メニュー表を見ると醤油豚骨がベースであったが,味噌や塩も選べるらしい。
「
「トミーの情報だと味噌叉焼が人気って聞いてるよ」
「じゃあ,俺はそれにするわ。
初めてだから悩んでいるのかなと思っていたのだが――どうやら違うことで悩んでいたらしい。
「どうしてかしら?あれが何処にも見当たらないわね」
「あれ?」
「ええ。こういうお店ってアブラナシヤサイカラメマシニンニクスクナメっていう呪文を唱えるとか……」
「悪いな,お嬢ちゃん。ここでは
話が聞こえていたのか大将が苦笑いしながらツッコミを入れて来た。
「そうなんですか!?」
「おうよ!生憎とうちの店には最初から置いてないんだ。すまんなぁ」
気さくに笑ってくれた大将を見て僕は顔を引き攣らせながら
結局,
「
「そうだよ。まあ,それ以外にも理由はあるんだけどね」
心配そうにしていると僕の心情に気付いた
「ところで,この後はどうするんだ?」
「ウィンドショッピングでもしながらブラブラしようかなと。あとはゲームセンターによってメダルゲームかクレーンゲームとか」
「あ,メダルゲームやりたい!みはるんと
二人も問題なさそうに頷いた――となると,この後の予定は決まったのでそろそろ本題の話をしようかな。
「
「「!?」」
「
「僕の上司が気になって色々と教えてくれたんだよ。ただ,一番気になったのがその依頼って
僕が一番気になったのはそこだ。
彼の父親であるなら幹事長自身がご子息を止めればいいだけなのに何故そんな回りくどいことをしようとしているのか理解が出来なかったのだ。
「実はおじ様,
そして,ここで一番問題なのがご子息が起こした誠央学園の事件である。
「
「知っているよ。
実は今の政府――特に現政権は若手,30代後半から40代前半の議員さん達が多く,旧政権も今まで国を支えていた年配の方達も少ないという。
だが,未だに年配の方々の力が根強く残っているのは事実であるのだ。
「現政権が旧政権に対抗できているのはおじ様の力が大きいわ。でも,今回の事件でおじ様は責任を問われているから微妙な立場にいるのよ」
今回の事件で一部の議員達が
そして,もう1つ厄介なことが旧政権の中心にいる一人が彼女の父親,
「
「そうなると向こうが有利になるから政権がまた奪われて今進めている政策は全て中断。おまけに誠央学園で問題を起こしていた子達の勢いが増して今度は星稜学園で問題が広がる可能性もあると」
僕の言葉に
学生同士の恋愛問題で政治的なことが絡むのはどうかと思うが,
「ま,そんな状況だから一番いいのは
「でも,
「そうだよね。みはるんの気持ちも考えないのはどうかと思うなぁ」
政治的な話は分からなかったようだが,
特に
「お嬢ちゃん達,その歳で色々と悩みが多いんだなぁ」
拉麺を作っていた大将がこちらの話声が聞こえていたのか肩をすくめていた。
「あ!?すみません!お店の中なのに……」
大将に言われて
「気にしなくていいぞ。星稜学園の学生達はそういった話が多いってのは昔からだからな。まあ,人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて地獄に落ちろって言葉もあるからその学生さんは何れ頭を蹴り飛ばされるんじゃないか?」
豪快に笑う大将を見て
流石に他のお客さん達もそろそろ入って来ていたのでこれ以上は話をしない方がいいと僕達は思った。
そう思っているとタイミングよく奥に引っ込められていた店員さんが出来上がった拉麺を持ってきてくれた。
「お待たせしました!塩拉麺のハーフサイズと味噌叉焼2つ,醬油豚骨大盛叉焼野菜味玉トッピングです!」
「こ,これが拉麺?凄く美味しそうね!」
「その量は気にしないの!?」
隣に座っている
「!?美味いな!」
「流石はトミーの情報網。予想はしていたけど,美味しいね」
――ここの拉麺って普通サイズで他のお店の大盛サイズだから大盛だとそれよりも多いはずなんだけどこの華奢な身体の何処に収納できているのか不思議であった。
「……ごちそうさま」
「
「ハーフサイズで普通の量だからね。それに,多分そろそろだと思うから」
チラッと前を見ると
「も,もう……食べられないわぁ……」
「当たり前でしょう!
まあ,予想通りの展開ではあった――が,やはり彼女は困った顔をしていた。
「これ,どうしよう……」
「流石に大盛を頼んでおいて残すのはねぇ。
「う~ん,流石に私もお腹いっぱいだよ」
3人は困った顔をしてどうしようかと考え込んでいたが,僕は
「
「予想はしていたからね。残りは僕が食べるけどいいかな?」
「――ええ,申し訳ないけどお願いしてもいいかしら?」
申し訳なさそうにする彼女の確認を取ると僕は残っていた拉麺を食べ始めた。
「……食べちゃった」
「食べたわね」
「どうしたの二人とも?不思議そうな顔をして」
「みはるん――気付いていないんだね」
そんな彼女達のやり取りを他所に僕は何とか
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