第12話 友人達との休日
「んじゃ,はるるん。またね~」
「色々とありがとう。一緒にお昼に行かなくていいの?」
「問題ないよん。それに,私まで一緒にいたらあの子達と遭遇した時にややこしくなるからねぇ。あかりんには久しぶりに会ったけど,長兄と兄者にもアンコは無事生きてるって言っておいて~」
そう言って軽く手を振るとアンちゃんは人混みの中に消え去って行った。
それにしても,色々と事情を知ることが出来て助かった。
お礼にアンちゃんが大好きな京都のどら焼きを兄上に買ってきてもらおう。
「――さてと,待ち合わせは時計台に11時のはずだからそろそろ……」
「
声をした方を振り向くと
そして,その横ではキャップ帽を被りボーイッシュな格好をした
「ごめんね,待たせたかな?」
「大丈夫だよ~。みはるんと
白いシャツにベージュ色のプリーツスカートを履いた金髪の美少女はキョロキョロと辺りを見渡すとそれだけで周囲の男性の目線を集めていた。
「
「え~,だって折角のデートだよ?」
「デートなのは
先日の【グリルローズ】での夕食中――僕は
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「か,
「……へっ?」
僕は
その隣では目が笑っていない義妹と
「兄さん,少し外でお話をしましょうか?」
「ちょっと待って!?僕にも事情が分からないんだよ!?」
冷ややかな目で見る義妹を宥めると自分の言ったことが恥ずかしかったのか縮こまって俯いていた
「まあ,驚くのは無理はないと思うが,真面目な話なんだ」
大笑いしていた
そして,落ち着いたのか
「行き成りこんなことを言ってごめんなさい。詳しい事情は後日話すけど近日中には返事を頂きたいの。もし駄目だったら別の人でも構わないわ」
「別の人――
はっきり言って狂気の沙汰としか思えなかった。
冷ややかな目をしていた義妹も僕の体質のことを知っているためか
「もしかして,
「ええ。彼は自宅謹慎中だけど学園に戻ってきたらまた私にしつこく迫ってくるかもしれないでしょう?対策できることは対策しておかないと。それに……」
僕だけでなく隣にいる義妹を見ると少し困ったような顔をした。
「
「げぇっ,あいつ早速問題を起こしたの?」
「
3人は
「
「何て命知らずな……」
不思議がる4人を他所に僕は義妹に付き従う番犬2人を思い浮かべるとその
間違いなく彼等は親衛隊の
「でも,
「うっ……」
「まあ,ユフィちゃんの言う通りだよな。あいつが一番諦めてくれそうなことではあるんだが、肝心の
「そ,そんなこと理解しているわよ!でも,あの子が私と争っているから彼にこちらの味方のようなことをされたらもう収拾が付かなくなるから」
大きなため息を吐くと頭を抱え出してしまった。
どうやら,僕達が思っているほどかなり深刻な問題を抱えているらしい。
「でしたら,今度のお休みの日に兄さんとデートをしてきたらどうでしょう?」
「「デート!?」」
僕だけでなく
「デートと言ってもお姉様達も一緒に遊びに行くってことです。私は風紀委員会の仕事でご動向はできませんが,まずは皆さんで交流を深めてはどうでしょうか?」
義妹の提案に最初は目を丸くしたが,交流を深めるという意味ではそれも有りかなと思い,次の土曜日にでも皆で商業施設へ遊びに行こうと決めたのだった。
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――ということがあって,皆で一緒に遊び行こうと思ったのだが……。
「まさか,
「意外だった?」
「いや,よくよく考えたら
平日の学園で何処へ遊びに行こうかと話しているとお昼も一緒にどうかなと提案があり,お昼前に集まろうと決めたのだが――
「あの子って滅多に外食行かないのよね。私達がファミレスに連れて行くことはあるけど焼肉屋さんにも行ったことがないんじゃないかしら」
「なるほど……」
彼女の両親は仕事が忙しくて滅多なことでは家に帰って来ないらしく,今は一人で高級マンションに住んでいるという。
そんな彼女の身の回りのお世話は全て父親である
ちなみに,隣には
「ただ,その家政婦さんの親御さんが倒れたって聞いたから今は別の人が来ているはずなのよね。どんな人が来ているかはまだ私達も会ったこと……」
「
遠くから声をする方を見ると
ベレー帽にチェックのスカート履いており,
「遅れてごめんなさい。
「問題ないよ。それにしても,
「なっ!?」
ボンっと一気に顔を赤くなり僕だけでなく隣にいた
「
「そういえば,そうだったね。ごめんね」
「べ,別に問題ないから大丈夫よ!」
「
「うっ……」
照れる彼女を見て僕達は笑ってしまった。
先日の夕食以降,僕の前でも素の姿で接してくれるようになった
――だが,それは
「お,今日はカツラを着けてないんだな」
「まあね。このメンバーであの格好だったら僕だけ浮いちゃうでしょう?」
学園での髪型――前顔まで伸びた陰キャのような髪型ではなく今は素顔を見せて黒髪もワックスを付けた状態にしていた。
「それにしても,
「あんまり目立ちなくないんだよ」
実は
カツラを取った姿を見せた時は
まあ,あの金髪の姿も僕のもう1つの姿なので間違ってはいない。
あんな夢を見てしまった手前,夢と同じような出来事にはなって欲しくないので彼女に金髪であることは教えないでおこうと心に誓った。
「そっちの姿の方が絶対カッコいいと思うよ?みはるんもそう思うよね?」
「えっ!?そ,そうね」
「
「仕方ないでしょう!!こういうことに慣れていないんだから!!」
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