第2章 第2節 偽装カップルの受難
第35話 穏やかになった日常
「「
「――え~っと……」
現在の状況に
「将来が不安だからって
「今更謝るのもおかしいと思うけど謝らせてください……ごめんなさい!」
「……皆さんの謝罪は受け取りました――ですが,お礼を言うなら彼の方では?」
隣で席に座っていた僕の顔を見て
「
「いや,特に僕は気にしてないんだけど……」
予想通りとはいえ困り果てていた。
「でも,大したことはしてないよ?将来の働き先は紹介したけど成績が悪かったら取り消しにもなるんだから」
「そんなことは百も承知だ!誠央学園にいた時なんか成績が良くても何処も受け入れてくれないんだからな!」
「そうよね!それに星稜学園の先生達って優しくて面白いし!誠央学園の先生達って何であんな酷い先生達ばかりだったのかしら……
彼女達の言う通り誠央学園の先生達が何故あそこまでエリート思考に染まったのかは分からないままだ。
――だが,問題の先生達は全員告発された事件で逮捕・学園から解雇されており,星稜学園には
誠央学園にも教職員はいるが,あれは告発事件後に
「お前等,その辺にしておいたらどうだ?流石の
「
こちらの様子を見ていた
「謝るのは良いがお前達がこれからしないと駄目なのは二度とこんなことをしないように未だに
「うっ……言われなくてもそこは分かっているつもりだ」
今回の支援策に
無論,無償と言うわけではなく一定の成績を収めて尚且つ
そして,この条件を受け入れたくない学生が未だに一定数いる。
「質問なんだけど彼等って僕のやったことに不満なのかな?」
「……言いたくないがおそらくそうだと思うぞ。あいつ等に至ってはプライドが邪魔して支援を受けたくないんだろう。あとは――
「そんなことをしても何も変わらないのにね」
「先に忠告しておくけど支援を受けるにはタイムリミットがあるから。
「ああ,出来るだけ早く説得しておく」
それだけ言い残すと彼等は教室を出て行った。
「ねぇ,ハル。彼等が支援策を受けない理由って……」
「おそらくだけど,支援策を出したのが僕だからだろうね。
「本当にあいつ等って何を考えているのかしら。状況を考えたらプライド何か捨てればいいのに」
様子を見に来た
どうやら,彼等は僕にも危害を加えるつもりでいたらしい。
それでも未だに
――そして,誠央学園の校風に染まってしまった可哀そうな学生達も……。
「
「そ,そうね。ハルには感謝しかないわ」
何故か目線を逸らされながら言われてしまった。
社交部での話し合いの帰りから
毎回というわけではないんだが,気になって仕方がなかった。
――あと,僕にはもう1件……別で問題も起こっていたりする……。
「か,
先程,教室に来ていた誠央学園の女子生徒が戻って来て僕の前まで来た。
何やら顔が赤いようだが――もしかして,またか……。
「と,
真っ赤になりながら手紙を渡されると女子生徒は教室から走り去って行った。
「
「これで9件目だよ。まあ,貰うのは良いんだけどね……」
僕は背後で睨んでいる赤い髪の猛獣の視線に冷や汗をかきながら返事をどうすればいいんだろうと切実に考えた。
「――まあ,返事はしないといけないとして
お昼休みになり,学食まで歩きながら
ちなみに,未だに
「にしても,
「特に何もない……いや,あったかな……」
まさか,階段で押し倒された時が原因じゃないだろうかと一瞬思ったが,よくよく考えらたら彼女がおかしくなったのは社交部からの帰りからだ。
ただ,あの時は
「嘘でしょう!?何これ!?」
「うわぁ……」
学食に着いてみるといつにも増して学生達がいることにびっくりしてしまった。
食券コーナーの方も見ると長蛇の列……にはなってなく誰も並んではいなかった。
「これってどういうことかしら?誰も並んでいないのに座っている人が多い――」
「今日は定食しかしていないからだよ。変わりに値段は全部300円になっているから学生達が押し寄せて来ているんじゃないかな」
声をした方を振り向くと珍しい二人が学食に来ていた。
「お兄ちゃん!?」
「お兄もどうしたのよ!学食って使わないでしょう!?」
「今日は様子見も兼ねて来て見たんだよ。しかし,予想よりも繁盛しているね」
学食の状況を見て
「
「大したことはしてないよ。それよりも,注文を先に取ろうか」
言われた通りに自分達は定食を注文すると空いていた席に着いた。
「……
「小さい時から苦手でね……知っているのに食べさせようとする悪魔はいるけどね」
隣に座っている
先程,食堂のおばちゃんに『人参いらないよ』と言ったのにそれを見兼ねた
ちなみに,本日のメインはA定食が鮭のきのこ餡かけ,B定食が青椒肉絲,C定食がハンバーグであった。
「お兄ちゃん,人参食べないと駄目だよ?ほら,あ~ん♪」
「
「そういえば,
「うっ……どうして,聞くのかしら?」
目線を逸らされてしまった。
彼女の行動が気になって聞いただけなのだが,これは早急に何とかした方がいいのではと思ってしまった。
――だが,理由は違っていたようだ。
「
「ちょっと,
「ピーマン……」
僕は食べていた青椒肉絲を見た。
なるほど……だから目線を逸らしていたのか……。
「そ,それよりも,
慌てた様子で
「
「それでこいつがまず考えたのが星稜学園が楽しい所だって分からせることじゃないかと思ったらしい。食堂の値下げもその一環だ」
誠央学園の学生の中には苦学生も多く向こうの食堂は法外な値段で学食を楽しむことも出来なかったはずだ。
そう思って
「他にも学年ごとに色々と考えているんだけど1年生達には1学期に行ったあれをもう1回やろうかなと思っているんだよねぇ」
「「あれ?」」
「
「うん!校外学習だよ!」
にこにこと笑う
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