第31話 謝罪と禍根
「――お騒がせして大変申し訳ありませんでした!!」
「
生徒会室のソファーに座って
「本当にごめんなさい,ハル!!」
「たいじょうふだからきにしないへ(大丈夫だから気にしないで)」
未だに腫れた頬で呂律が回らないのか上手く言葉を出せずにいた。
「しかし,何とも言えない面白い記事が出回ったねぇ」
「うぅぅ……」
先程,階段で起きた事件――
「誠央学園の天才少女,星稜学園の噂の男子生徒を押し倒して堂々と昼間から不純異性交遊か……よかったな,そこの
「まったく嬉しくないんだけど!?というか,会長も
「……もう,やだぁ……お家に帰りたい……うぅぅ……」
駄目だ……余りの恥ずかしさに
流石に可哀そうと思ったのか
幸いなのが僕を押し倒した時の写真が挙げられていないこと――というよりも,しおりん先生か
明日でも二人に会ったらお礼を言って置かないと……。
「あのう,
「ああ,急いで来てもらったのに申し訳ないね,
「いえ,今回の件はこちらに非があるので構わないんですが……」
僕の目の前のソファーに座っている
「とりあえず,
「まずは謝罪を……
深く頭を下げる彼女を見て僕と
正直に言えば,
「ところで,それは?」
「これですか?今回の事件であなた方に誹謗中傷を行った学生達の反省文です。1人当たり5枚は書くように言っておりますのでご確認を」
「反省文とはまた……彼等から反論はなかったのかな?」
気になったことを正直に尋ねると彼女は溜息を吐いてずり落ちた眼鏡を直した。
「流石の彼等も状況を理解したらしいです。
要するに
流石の彼等も擁護してもらえずに
「
「そうしてくれると助かるかな。今回の一件で星稜学園の生徒達の中に誠央学園の学生達を不審に思う学生が出てきているからね。それから,例の調査の方も」
「重々承知しております。それから――」
何とかいつも通りに戻った
「
「
「――ですが,あなたのやったことを絶対に私は許しません。それだけは覚えておいてください」
「ええ……肝に銘じておくわ」
「未だに謝る気がないって
「
生徒会室の隅の方でこちらを見守っていた
「
「
「要するに上級生だけを支援して1年生だけ支援を行わないことを怒っているんだ」
彼女が問題視していること――それは上級生だけを支援して1年生だけを支援の対象に入れなかったことであるらしい。
実は今期の1年生は問題児が多過ぎるため星央会の会長であった
しかも,厄介なことに問題を起こしていた学生の多くは星央会に長年席を置く有力者達の関係者,圧力を掛けて退学に追い込むことすらできなかった。
「今回の事件で問題を起こしていた子達と横領に関わっていた有力者達を一掃できたことは
今回の事件で一番問題となったのが,誠央学園を卒業した卒業生達だ。
近年,卒業生達は企業に入社しても横暴な態度が目立つ者達がおり,問題視される傾向が根強くあった。
そして,今回の事件が表沙汰になって多くの企業が誠央学園の卒業生達を色々と疑うようになり,首を切ることを決断した企業も数多くあったという。
おまけに再就職しようにも誠央学園の卒業生ということで門前払いをされる。
そんな状況に陥った彼等が最後に頼ったのが星央会ということだ。
「本来なら星央会は誠央学園の限られた人間しか関わることがない。だけど,今回の事件に星央会の関係者が多過ぎる。そこを追及されたら彼等を支援せざるを得ない。おまけに
「じゃあ,そのことが原因で彼女は……」
「
そして,今の1年生達は卒業生達に支援を行っていた星央会を頼り出したが,星央会も彼等まで支援をする余裕がない状況なのだ。
だからこそ,彼女は自分の婚約者を助けることができない状況を作り,敬愛する祖父を困らせた
「あと,
「……何だか色々と複雑な事情が絡みすぎていますね」
僕の言った言葉に生徒会室にいた皆は頭を悩ませた。
そして,その状況を利用して
正直,誰かが裏で糸を引いているんじゃないかと疑いたくなる状況だ。
だけど,誰だってこんな状況なら疑うはずだ――となると問題なのは……。
「長年積み重ねて来た爆弾が一気に爆発しちゃったってことですか?」
「ピンポーン!まあ,簡単に言えばそういうことだね。爆弾のスイッチを押したのは
要は
言い方を変えると彼が爆弾のスイッチを押さなければ被害が今以上に甚大になっていたかもしれないとも言えるのだ。
「だからといって彼のやったことが許されるわけではないからね。彼が今回の事件を引き起こした理由が理由だから」
会長の言葉を聞いた
彼が今回の強行に及んだ理由――それは
「でも,不思議だよなぁ。
「「…………」」
「――もしかして,
「彼自身は何もしてない。ただ,彼の周り……
星稜学園にも奨学金の制度はあるが,編入したての彼等にはまだ対応が追いついておらず誠央学園の生徒の多くがこの奨学金の制度を使っているという。
そして,その資金を
「そういえば,特別推薦枠で入った学生達は学費免除になっていましたが星稜学園の学費って高額でしたね。でも,誠央学園の学生ってお金持ちが多くなかったですか?一般家庭の多い2年生の先輩達も困ってないような感じがしますけど」
「……
――自分達で解決できない……最初から決められているだっただろうか。
あと,学食で
「彼等が
「……はい?」
僕は
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