第25話: 嘘……だよね? ~香穂~

「こんな星、こんな星、こんな星、こんな星…………!!!!!」


 香穂は、地面に攻撃するように道を歩いていた。

 行先はフォクシーのいる家だ。

 香穂はそこで寝泊まりをさせてもらっており、よくフォークスの話を聞いている。

 香穂と出会う前のフォークスの話、香穂と会ってから少しずつ性格が変わっていった話。

 そして、地球についてからの話…。


 フォクシーの家に着くと、そこには、チャコフ星から派遣されてきた人員のほとんどが集まり、何かの会議をしていた。

 自分が入れるような雰囲気ではなかったので、玄関で待っていたのだが、その中の会話をたまたま聞いてしまった。


「イヴェルはもうダメかもしれないわね。

 隆太郎や理恵子の前で自分が俺たちチャコフ星人だということを告白してしまったそうだから…。

 あの子は、まだ他の姿を持っていないもの」


 この声に聞き覚えはなかったが、自分が信用されておらず、監視係までいたことに驚きを隠せなかった。


「そうだな、いっそのこと、送り返したほうがいいのかもしれないな」


「っ…!!!」


 この声は、フォクシーだった。

 信じていたフォクシーに裏切られたような感覚に私は衝撃を受けた。


「流石にフォークスと同じようにやっちまうわけにもいかないだろう。

 それに、そのことはあいつも知らない」


 思わず、香穂ことイヴェルは、家の中に入っていた。


「ちょっと、どういうことなの?

 フォークスは交通事故で亡くなったんじゃないの?

 それに、私をチャコフ星へは、送らないで…。

 もう帰る場所なんてないのよ……」


 もう誰も信用できなくなってしまった。

 一緒に住んでいたフォークスはもうこの世にはいない。

 そしてフォクシーも、信用できなくなってしまった。


 生まれ故郷にも、この場所でも一人になってしまった。

 そんな様子を見ていたフォクシーはいった。


「なんだいたのか。

 君の姿はもうバレてしまったし、他の姿も持っていないだろう?

 そうなってしまった君は、私たちの立場を不利にする可能性の方が高い。

 だから、君をどうするかを話し合っていたんだよ。

 それと、フォークスのことも話さなきゃね。

 フォクシーは、地球人に不信感を抱かせてしまったから、私たちが処理したんだ。

 自分の親戚を殺さなければいけない時は辛かったねぇ」


 全く悪びれずに言い放ったフォクシーに対し、イヴェルは思い切り拳を振り上げ、その勢いのまま拳を下ろした。

 フォクシーはそのまま壁に押し付けられ、頭を強打していた。


「許さない、許さない、許さない!!!! フォークスを返して!!!」


 気づいた時には、イヴェルは他のチャコフ星人に抑えられており、フォクシーの顔には無数の青痣ができていた。


「もうお前は用済みだ。この地球人たちと一緒に滅ぶといい」


 フォクシーがイヴェルを捕まえている人たちに命じると、イヴェルを外へとほっぽり出した。


「せいぜい地球で楽しくな」


 そういうと、扉を閉めてしまった。

 香穂はまた、一人になってしまった。

 三度目の一人だった。


「さて、どこに行こうかね〜。」


 もちろん、いくあてなんてない。

 向こうでならあったかもしれないが、この地球という星ではそういった場所はない。

 仕方なく橋の下へと向かう。


「今日はここで寝ようかな」


 手頃な場所を見つけると、試しに横になってみた。

 フォークスとあうまでは、こんな場所で寝たりもしたっけ。

 そんなことも思いながら、眠りについた。

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