第4話: 文章決め ~沙織~

「さて、どうしたものか。

 文章を書くとは言っても、何から書き始めればいいのかわからない。

 そもそもで、文章を渡すことが仮にできたとして、相手が読めなければ、意味がなくなってしまう。

 一応、日本語を喋っていたことから、日本語を聞き取ることはできそうだが、音声を送ることができるのか怪しいだろう」


 柏木はまだ、疑問符を持っているようだった。


「言語を翻訳して話していたのであれば、文章でも、通じるのではないでしょうか。

 チャコフ星人がどれだけの知能を持ってるか分からない中でそれをやらなければならないのは、かなりハードだとは思います。

 まずは軽い挨拶から始めれば、続けやすいのではないでしょうか」


「それはどうでしょう?

 柚原さんの言った通り、相手の知能がどれだけあるかはわかりません。

 しかし、侵略をするとはっきりと宣言していることから、こちらも応戦的に話さなければならないのではないでしょうか。

 すでに手遅れかもしれませんが、舐められた態度を取られているうちは、対等な会話は望めないでしょう」


「下手に刺激すると、いつ攻撃を仕掛けてくるかもわからない状況だ。

 慎重な行動を取るのが最善だろう。

 しかし、桜坂の言う通り、舐められたままというのも、居心地が悪い。

 いずれは、対等な立場で話せるようになればと思っている」


「すみません。先走りしすぎました」


 柚原、柏木、桜坂の三名は、想像もつかない相手へのメッセージを書くことに、苦戦をしていた。

 そもそもで、文字の文化はあるのだろうか、伝えたいことが伝わるのだろうかなど、普段他人と話す中では、気にしないであろうことにも気にしたため、制作に一週間もかけてしまっていた。


 チャコフ星人がいつ攻めてくるかわからないこの状況で、すぐに宇宙へと文章を送った。


「これで無事伝わるといいんだけど……」


 と、沙織がつぶやく。


「いや、まずは相手にこの信号が伝わるかが勝負だ。

 どこにいるのかもわからん中で、確実に伝わるという保証はない。

 ただ、この通信を世界各国から行えば、伝わる可能性はグッと高まる。

 ただし、すぐに発信できるということはないだろう。

 国のお偉いさんを納得させなければ、発信することは叶わないだろう。

 よし、プレゼン作るかぁ」

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