第12話: 柏木のお仕事 ~沙織~
「あいつらどこまで行ってんだよ……」
柏木は一人、オフィスで座って仕事をしていた。
本来なら十数人メンバーがいるはずなのだが、今はお昼休憩の時間とあって、誰もない。
今日のお昼は、柚原たちと一緒に食べる予定であった。
俺がいいお店を紹介すると言って、それに乗ってくれたはずなのだ。
それが、気づいた時には二人ともいなくなっていて、結局柏木は、コンビニで軽いものを買って、オフィスで食べることにしたのであった。
二十分後…
「柏木さん‼︎提案がありますっ!!」
桜坂が、昼ご飯から帰ってきたと同時に、俺のところに一直線で迫ってきた。
よくみると、桜坂の後ろに柚原の姿も見られた。
「なんだなんだ、俺を置いてどっか行ったと思ったら、今度は凸ってくるのか。
それで、何を思いついたんだ?」
俺は置いて行かれたことと、急に提案があると言われた困惑とで、何と答えていいかわからなくなっていた。
「今回、チャコフ星人はある少年に地球を渡すと言われたから地球を侵略すると言いました。でしたら、その少年はチャコフ星人に接触している可能性があります。
その少年に我々から接触することができたら、チャコフ星人の容姿、声色、性格など、あの動画では把握しきれなかった実態が見えてくると思われます。
ですから、まずは警察で把握できる範囲で、防犯カメラを確認してみるのがいいでしょう。
おそらく、チャコフ星人がテレビで出てきた一週間以内のデータを見れば何かしらヒットすると思います」
いきなりそんなことを言われたものだから、反応に困ってしまった。
チャコフ星人を見つける?
第一、警察に協力を仰ぐ?
余計混乱させるだけではないか?
「調べる範囲についての話ですが、今回、チャコフ星人が放送した範囲は関東圏にとどまっております。
比較的防犯カメラが多い地域なので、見つけやすいかと。
これは地球人としての感覚になるかもしれませんが、なるべく多くの人に恐怖を与えたかった、話をした人に見せつけたかったと考えられます」
「では私は何をすればいいのかね?
警察に事情を説明するのはいいとして、その確認作業は誰が?」
たかが十数人の組織だ。
関東圏だけとは言っても、過去一週間分をみる時間は作りずらい。
外部からチャコフ星人と接触したという通報などがあれば、限定され、その本人にも会うことも可能になるだろう。
その薄い望みに一人は待機していなければならないだろうし、他の方面からも調べることが山ほどある。
おそらく、今空いているメンバーはプレゼン作りの必要がなくなった、桜坂、柏木、柚原、梅津の四名だろう。
「骨の折れる作業になるだろうが、やるだけやってみるか」
「はい!」
そう言って、桜坂以下四名は警察署へと出かけて行った(一名愚痴を言いながら引きずられていた人はいたが)
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