第37話: 信憑性 ~隆太郎~
「さぁ、行くわよ」
香穂とフォクシーを含む僕たちは今、役所へと向かっている。
そこには他のチャコフ星人たちが拘束されている。
香穂はすぐにでも学校に行きたがっていたが、拘束しているという事実を証明するため、先に今の状況をフォクシーに見せたほうがいいと創一郎が言うので、仕方なく向かっていた。
車はクラベルが猛攻撃を喰らわせたパトカーだったため、動くか心配だったが、どうやら地球人たちが作ったものは、心配は無用だったようだ。
チャコフ星人三人を含む、八人だと、流石に乗り切れないので、移動は二回に分けて行われた。
運転手の創一郎を含む、隆太郎、香穂、フュース、フォクシーの五人。
そして、健太、理恵子、クラベルの四人。
クラベルはフォクシーの指示がなければ特に危険ではないので、健太たちと一緒にいても大丈夫だろうと言うことで、二回目の移動に回された。
「仲間の安全は確保されているんだろうな」
棘のある言い方をするフォクシーに対し、香穂は冷たく言い捨てる。
「あなたの態度次第じゃないの」
その言葉にフォクシーは言葉に詰まり、長い沈黙が生まれる。
時々創一郎が、その沈黙に耐えきれずに咳払いなどをするが、その後も会話はなかった。
役所に着いた時、
「じゃあ残りの人たちを迎えに行くよ。
ちょっと退屈だろうけど待っててくれるね」
なぜか香穂に念押ししてから創一郎が出ていった。
「なんで私に……」
香穂は不満げにボソッと言ってから、フォクシーを睨みつけた。
「創一郎に言われたの、あんたのせいなんだからね」
危険を感じたのか、フォクシーの間にフュースが入ってきて、庇うような仕草をする。
「そう言う態度が、あの男性を心配させるような原因ではないのですか?」
その言葉に何も言えなくなったのか、香穂は他の部屋へと入っていった。
「香穂…!!」
僕は追いかけにいこうか悩んだ。
今ここで追いかけなくては、香穂がまたどこかへいってしまうかもしれない。
けれど、ここで香穂を追いかけて、フォクシーたちが仲間を連れて逃げ出してしまったらどうしようと言う不安もある。
僕は数秒間固まっていたが、今はフォクシーたちの方が重要だと判断し、この場にとどまることに決めた。
「お前は行かなくていいのか?」
フォクシーが悩んでいた僕の姿を見てか、問いかける。
「またいなくなっちまうかも知れねぇぜ」
確かに、その選択を香穂がすると言う可能性は捨てきれていない。
ただし、必ずしもどこか遠くへ行ってしまうというわけでもない。
それに今回は、僕たちと関わりたくないと言う理由ではなく、この場にいることがつらかったと考えられる。
自分を捨てたフォクシーと一緒にいるだけでも、辛いものはあるのだろう。
そうだった場合、僕が行くことで、帰って香穂に辛い思いをさせることになるだろう。
「いや、行かないね。香穂は、遠くへは行かない。
それよりも、あなたたちが逃げないか監視をしておかないと」
僕の迷いを吹っ切ったかのような回答に、フォクシーとフュースは、完全に諦めたと言う仕草をした。
「わかったよ。俺たちはここにいりゃいいんだろ。
創一郎とかいう地球人が来るまで」
結局、理恵子たちが来るまで、フォクシーたちは静かに座っていた。
「あれ? 香穂は?」
理恵子が聞いてきたけれど、その答えは必要がなかった。
「私ならここにいるわよ」
ドアが開き、香穂が入ってきた。
おそらく、すぐに来たことに気づけるような場所にいたのだろう。
「さて、それじゃもう少し移動しようか」
創一郎が、中にいた人に声をかけると、部屋を移動移動させるために席を立った。
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