第19話: やっと見つけた ~香穂~

「こんなところにいたのか」


 学校の校舎の裏、状況さえ違えばさも有名の告白スポットにもなりうる場所に、香穂はいた。

 その様子は、怯え切っているようであり、泣いているのか、小刻みに震えていた。


「なんできたの…? 金城くん……」


「そんなもん決まってるだろ。

 お前にこのまま行かれちゃ、俺の気がすまんのや。

 それに、合わせたい奴もおるしな」


 社は、そういうと、香穂を連れて、健太と会った場所へと向かおうとした。

 けれど、香穂は全く動こうとしなかった。


「行かない。私はここにいる」


 まさか、さっきぶつかったことで、香穂に怪我をさせてしまった部分が他にもあったのかも知れないと思い、不安になった。

 もしその理由だとしたら、香穂に強制させることはできない。


「オブってやるから乗れよ」


 香穂は迷っている様子だったが、社は無理矢理乗らせ、移動を始めた。


「ちょっと、まだ行くなんて言ってないんだけどっ!」


 香穂は降りたげに、社の背中で暴れる。

 朝倉でも、恥ずかしいことはあるんだな。

 社は呑気にそんなことを考えていた。


 健太の集合する場所に着くと、香穂をおろして、健太を待った。



 香穂を探しに別れてからちょうど三時間後



「お、香穂いるじゃん。ありがとな社」


 健太の姿を見た途端、また逃げようとするが、その前に、健太が捕まえる。


「おい逃げんなって。

 俺らは香穂を心配してきたんだから」


 けれど、香穂は逃げようともがく。


「離して!! 私はここにいてはいけない生き物なの。

 こんな汚らしいところからは、さっさと逃げ出したいのよっ!」


 その言葉に、健太と社は困惑した。


「それってどういう…。

 とりあえず、リエの家に行こう。

 ここで立ち話をしていても埒が開かない」



 理恵子の家に着くと、そこにいたのは、理恵子だけではなかった。


「ケンちゃん。お疲れ様」


 理恵子は社が増えていることに驚いたが、グラスに麦茶を入れて持ってきてくれた。


「わり。ありがとさん」


 社はそのグラスを受け取ると、慣れない他人の家にソワソワしているようだった。


「それで、さっき言ってたことってどういう意味なの?

 汚らわしいって?」


 健太は、さっき香穂が言っていたことを理恵子と隆太郎に説明した。

 香穂は嫌そうな顔をしていたが、やがて、ゆっくりと自分の過去について話はじめた。

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