第6話: 学校案内 ~4階~ ~隆太郎~
音楽室に着くと、そこには理恵子が疲れた様子で座っていた。
そして、その様子を見て呆れている健太の姿もあった。
「やっぱここにいたんだね、リエ」
「お、やっぱリエが行く場所わかってんじゃん、リュウ」
「リエやケンちゃんと一緒にいるのは二人だけじゃないからね」
そう、僕が最初に行く場所を音楽室にしたのは、健太たちと合流して一緒に回りたかったからだ。
流石に自分一人だと、会話が途切れてしまい、気まずい雰囲気になりかねない。なるべく人がいた方が、会話も途切れず、明るく回れるだろう。
「オッケー。じゃここは私から説明するね。
ここは私が所属する合唱部の部室兼、音楽の授業で使う音楽室だよ。
壁に作曲家の絵がたくさんあるけど、これと言って珍しいものはないと思うから……。
ま、こんなもんかな。リュウくん、次どこ行くつもりだったの? 図書室?」
「ご名答。ま、図書室行く前に多目的ホールを通ってからだけどな」
僕の通う学校では、音楽室と図書室の間に、多目的ホールと言って、学年集会や、避難訓練などで使う、教室を二つくっつけたような空間がある。
ただし、教室ではないので、廊下と教室の間にあるはずの壁がなく、生徒は普段、廊下として使っている。
軽く多目的ホールの説明をしてから、僕たちは図書室に入った。
「ここが、僕が所属する図書委員の仕事場、図書室だよ。
僕は毎日ここで本の登録作業をしているんだ。
何か読みたい本があったら僕に聞いてくれれば、すぐ探すよ。
ラノベや、漫画はないけどね」
「ここが図書室なんだ。私がいた学校よりも本がたくさん置いてあるなぁ」
香穂は、しばらく考えるような仕草をしてから、
「ねぇ、私も図書委員に入ってもいいかな?」
と聞いてきた。まさかそんな早くに、転校して初日にそう言われると思っていなかったので、僕は、驚く反面、一緒にいられるという嬉しさが、激しく絡まり合って、どう答えていいかわからなくなった。そんな僕を見て、健太が、
「リュウはこんな反応してるけど、OKだってよ。
あとは朧木先生に言えばすぐ入れてくれるだろうよ」
ちなみに図書委員の顧問は朧木先生だ。
そして、僕も健太のセリフにあと押されるようにして、
「あぁ。大歓迎だ。あとで職員室行くからその時に言うか」
そう言って、図書室を後にした。
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