Reave for a life 2/3

 集ったのは俺と東雲、そして少し遅れてきた蓮だった。

 待ち合わせ場所は文化館前、そこで時間が来るまでの間最後の歓談が設けられた。


 「ごめん、少し遅れた」

 「珍しいな、蓮が寝坊なんてよ」

 「ずっとこれを編集してたからさ、せっかくだからみんなで見ない?」


 そう言って見せてきたスマホの中身は今まで撮ってきた映画だった。

 前にボツにしてしまったやつもつなぎ合わせて、途中まで上手く作り上げられていた。

 それでもその先が無いのは、やっぱり時間の猶予などもあったからだろう。

 あれから一度も撮影ができないまま今まで時間が過ぎてしまったわけだしそれも仕方ないと思っていた。


 「ねぇ蓮、せっかくだしさ撮影風景をお姉ちゃんに見てもらわない?」

 「いいの?このまま何処かへみんなで遊びに行こうかなとも思ってたんだけど」

 「それは私達らしくないじゃん、せっかくなら私たちのありのままを見てもらおうよ」


 東雲がこういうのも珍しいがそれもきっと彼女に対する配慮なのだろう。

 今まで何回か人間と幽霊というのを見てきたけど、これだけ誰かと縁を結べる霊というのも俺にとっては初めてだった。

 まだまだ自分の見識の狭さを認識しながら東雲と蓮の送ってくる目線に答える。


 「今出来てるところまででいいならやろうぜ」

 「うん、リテイクなしの一発勝負と行こうじゃんか」


 その結果俺たちはいつもの公園に集まって、撮影を開始した。

 この一瞬を刻み込むように、この刹那を忘れないように。

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