震えるHeart 躊躇いのBeat 3/3
京子さんと別れた後、すぐ近くでタクシーを拾って数分。
ようやく見慣れた家と部屋に帰ってくることが出来た。
「あー、やらかしたな……」
家に帰って部屋で寝そべるなり出てきたのは後悔だった。
そもそも予定としては無理をしない前提で行くはずだったのに初日から飛ばしすぎた。
(数日ほど休んだ方がいいな、東雲と伊吹にも伝えとかなきゃ)
スマホに手を伸ばしグループチャットに連絡をしようとした時、すでにそこにはメッセージが来ていた。
【すまねぇ、今テンションだけで書いてるから一旦見直す時間が欲しい。2日ほど開けちゃくれねぇか?無理そうなら構わねぇが】
相手は伊吹からだった、彼のシナリオは必須だから間に合うのなら何でもいい。
そしてその調整もまた僕が管理することだ、余裕はあるし問題はない。
【いいよ、こっちも少し体調悪くなったしいったん日を開けようかと思ってたんだ】
【おいおい夏バテでもしたのか?ずっと日の下に居たしそうなるとは思ったが】
【違うよ、何か心臓辺りがまた】
そこまで書いて指が止まる、それを言う必要があるか?
いや無い、少なくとも伊吹は夏バテだと思っているらしいしそれで通した方がいい。
それに2週間前から心臓が痛み出したなんて言おうものなら最悪辞めようなんて言い出す事もあり得る。
それじゃ困る、あれは完成させなきゃならない話なんだから。
僕がいたことを、伊吹と東雲に覚えていて欲しいから。
【まぁそんな感じ、これを機に養生するよ】
先ほどまで入れていた文を消して無難な感じに書き直す。
それに対してにやりと笑うスタンプが送られ会話は締めくくられた。
伊吹からの返信がないことを確認してから予定表の数日分を考え直す。
幸い撮影と編集がメインになっていたのもあって今後の予定はあっさりとしていた。
(なら編集の分を進めるかな、今回撮った分をパソコンに回して)
一旦体を起こそうとしたがやはり疲労は溜まっていたのかもしれない。
何度か起こそうとしても動かず、遂には諦めてスマホをベッドの傍に置く。
(いいや、今日はもう寝よう。明日動けたら編集しなきゃな)
そんな言葉を最後に意識はだんだんと心地いいまどろみの中に沈んでいった。
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