明かされたTruth 1/4
あれから何度か東雲と連絡を取ろうにも一向に連絡が付かないままだった。
着信拒否されてないだけありがたいけどそれでもやっぱり心配ではあった。
気になるのはやはり彼女が言った京子さんを知っているかという事だ。
となれば逆説的に京子さんも東雲を知っていることになる。
普通なら分からないだろうけど移植された心臓が見せた光景には必ず東雲と思わしき人物が映っていた。
苗字が違うということはおそらく子供のころの友達だったりするのだろうか?
(導いてくれたとも言ってたし、もしかしたら京子さんも何か知ってるかもしれない)
時計を見ればもうすぐ夕暮れに差し掛かる時間だ。
ならきっと文化館で待っているだろう、そこへ向かう事にした。
自転車をこいで向かう中でなぜだろうか、今日の夕日はなんだか禍々しく見えた。
文化館にたどり着けばそこには変わらずベンチで京子さんは座っていた。
「お?どうしたの蓮君?さては私に会いたくなっちゃったとか?」
にこやかに語る見慣れたその顔を見据え昨日からずっと疑問に思っていたことを離す。
「京子さん、東雲宮古って子を知ってますか?」
それを聞いた瞬間京子さんの顔が驚愕に見開かれる。
この反応からしてやはり何か知っているみたいだ。
「……まいったなぁ、今度は私が傷に触れられるばんかぁ」
そう前置きしてから京子さんは真っすぐ僕を見据えた。
「知ってる、私にとって一番大事な子だよ」
やっぱりそうだった、となればあの夢に出てきた少女は京子さんで間違いない。
「それにしてもどうして蓮君がみやこの事知ってるの?私口に出してたっけ?」
「友達なんです、それに今回の映画は東雲が主役ですから」
そう聞くと彼女は両手を合わせて喜び始めた。
「え!みやこが主役!?本当なの?」
「はい、あの子の演技力も凄くて俺から頼んだんです」
証明というわけではないけど今もスマホの中には撮影の記録が残っている。
それを見せるとワクワクしながら眺め始めていた。
「へーみやこが主役かぁ、立派になったなぁ」
「……いまでも東雲に会いたいですか?」
「そりゃね、出来ることなら会いたいよ」
それなら僕にも出来ることが合った、スマホを返して貰うとそのまま通話を開始する。
(出るかな、昨日からずっと反応なかったし)
しかし何回かコールが響いた後向こうで電話に出る音がした。
「はい、もしもし」
「東雲?昨日からかけてたけど大丈夫だった?」
「あぁごめん、少し落ちてた。今目が覚めたところ」
本当に寝起きだったのか、声が少しだけ辛そうだ。
それなら今日じゃなく日付を変えた方がいいかもしれない。
「そうなのか、それでさ昨日言ってた浅井京子さんだけど知ってる」
「……本当?」
「うん、今日はもうお開きだけど明日なら会いたいって」
「そっか、明日のいつ何処に行けばいい?」
「夕方の文化館前、そこで待ってるって」
「わかった、ありがとう蓮」
そう言って通話を終えるとそこではにっこりと笑顔の京子さんがいた。
「蓮君、本当にいいの?」
「京子さんにはずっと助けてもらいましたし、このくらいは返さないと不公平じゃないですか」
そうやっとだ、停滞した時間にきっかけをくれたのだからこれくらいは返したい。
それが自分に出来ることならなおさらだから。
「ありがと、ありがと蓮君!君に会えてよかった!」
「きょ、京子さん抱き着かないでここ往来、それにいろいろ苦しい」
だけども本当に喜んでいるのが分かる、だからこそそれ以上は強く言えなかった。
そして僕も明日が楽しみになった、だってもし東雲が元気になるならまた撮影が出来る。
この4人で始まったことだから絶対にハッピーエンドで終わらせたかった。
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