欠けたピースとDestrudo 6/6

部屋に帰るなり何もかも投げ出して枕に顔をうずめる。


(いったい何やってんだ僕は……)


後悔がずっと胸と頭を締め付けてくる。

ずっと協力してくれたのにただの癇癪でまた全てぶち壊してしまった。

それが情けなくて苦しくて泣きそうになってくる。


(なんでもないただの言葉だったんだ、流したってよかったじゃないか)


出来ることなら明日の予定は全部キャンセルしたい。

それくらいに傷は深かったけど伊吹と東雲の予定も決まっている以上ここでドタキャンするのはあまりにもあんまりだ。


(いい、感傷なんて捨てろ。未練だって捨ててしまえ、そんなもんがあるからいけないんだ)


今も机の上で笑っている過去の自分が恨めしい。

本当は何度も捨てようとして、それでも捨てきることのできない自分の未練。

こんなものを抱えたままの撮影なんてそれこそ東雲に失礼だ。


(明日の撮影を乗り切ったら、この後どうしようか)


辞めることは考えていない、あれは完結させなきゃいけないものだ。

舞台から降りてそれでも何かを残そうとした人間の最後の悪あがきだ。

ここでやめることは許されない、ここで終わらせていいものじゃない。


(完成させよう、その後の事は作り終わってから考えよう)


身体を横たわらせて目をつぶる、そうすれば少しずつ睡魔がやってくる。

瞼の裏に浮かぶ光点が浮かんでは消えを繰り返し、それらも見えなくなりそうなところで。


(京子さん、また会えるかな?あったら謝りたいな)


最後に浮かんだのはその事だった。

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