震えるHeart 躊躇いのBeat 1/3
空の青が次第に赤を帯びてくる午後17時過ぎ、細長いビルのような建物に着いた。
建物の回数が10を超えるその中にはイベントホールや図書館なども兼ねた作りとなっていてこの街の数少ない娯楽の一つともなっていた。
(さて、京子さんはここに来るって言ってたけど)
少し疲れが出たのか近くのベンチに座って一息つく。
そんなに激しい動きをしたわけでもないし休憩も多く入れていたから大丈夫かなと思っていた。
だけど予想以上に疲れは溜まっていたらしい。
(……こっちに影響が無ければいい、今のうちに進行度のチェックでもしておこうか)
スマホを取り出して項目にチェックを入れていく。
こうして埋めていくとちゃんと進んでいくのが分かるからこういうのが好きだった。
そして集中していたからだろうか、急に視界が真っ暗になり始めた。
「動くな、キミは狙われてるぞ」
耳元でささやかれる楽しげな声、目にかかる暖かな感触。
こんなことをする知り合いは一人しか心当たりがない。
「京子さんですよね」
「ちぇー、つまんないのー」
当てられたのが不服なのかわざとらしく口を尖らせながら視界を覆っていた両手が開かれていく。
そこにいたのは昨日と同じラフな格好に身を包み楽しげに笑う京子さんの姿がそこにあった。
「なんてね。改めてお待たせ、蓮くん」
「そんなに待ってませんよ、さっき着いた所ですし」
「そう?ならよかったよ。それじゃ行こうか」
話もそこそこに京子さんは僕の手を掴むとどこかへと駆け出して行った。
「ちょっと、京子さん。走るのは、少し」
息が上がる、そのたびに少しだけ胸がちりちりと痛みだす。
深く息を吸おうにもなかなか追いつけない、まいったなここまで劣化するか。
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