第30話:友達と話しながら帰っていく(悠斗視点)

 時は少し遡り、先週の金曜日の放課後。


 俺は仲の良い複数人の男友達と一緒に学校から帰っている所だった。


「あ、そうだ! そういえばさ、昨日かなり良いAVを見つけたんだけどちょっと見ないか?」

「えっ!? マジで!? 見たい見たい! 見してくれよ!」

「あぁ、良いぜ! えぇっと……ほら、これだよ。マジでくっそ抜けるからな!」

「へぇ、どれどれ……って、うわっ! 何この女優さん滅茶苦茶可愛いじゃん! それに体付きもめっちゃエロいしやば過ぎだろ!! お前よくこんな神AV見つけたな!」

「んー? マジでそんなに凄いのか? ちょっと俺にも見してくれよ」


 唐突に友達同士でスマホを見ながらAV談義で盛り上がり始めていったので、俺もそのAV談義に加わろうとしていった。


 まぁそりゃあ俺だって思春期真っ只中の高校二年生だからな。だからもちろんエッチな事には興味ある年頃なわけでさ。


「あはは、いや悠斗にはこんなオカズ要らねぇだろー? だってお前にはめっちゃ可愛い幼馴染の彼女が居るんだからさー!」

「そうだそうだ! あんな可愛くてエロイ身体付きの彼女がいるクセに俺達にオナニーのオカズを要求してくんなよなー。あはは、悠斗はAVなんか見てねぇで彼女に抜いてもらえよww」

「い、いやいや、だから桜は彼女じゃなくてただの幼馴染なんだって! ってか桜に抜いてもらうとか何だよそれ、罰ゲーム過ぎるだろw」

「いやいや、水島さんに抜いてもらうとか最高過ぎるだろー! 俺なら金払ってでもお願いしたいくらいだわ!」

「あぁ、俺もそうだよ! 水島さんに抜いてもらえるんだったらいくらでも金払うわw でも悠斗は水島さん相手にはそういうエロい気持ちにはならないのか?」

「えっ? い、いや、それは……ま、まぁそうだな。桜の事は全然エロくなんて見れねぇわ。俺にとっては妹みたいなもんだしな、あはは」


 俺はちょっとだけ動揺しつつも桜の事をエロい目でなんて見てないと言っていった。


「へぇ、そうなんだ? まぁでも姉とか妹がいるヤツって滅茶苦茶に可愛くても身内過ぎるからエロい対象には見られないってよく言うもんな」

「あー、確かにそういう話はよく聞くよな。なるほど、だから悠斗も水島さんは幼馴染で身内過ぎるからエロイ欲求が湧かなくなってるって事か?」

「あ、あぁ、そんな感じだよ、あはは」


 俺は笑いながらそう返事を返していったけどもちろん嘘だ。俺は桜の事は普通に一人の女の子として大好きだ。


 だから当然のように俺だってコイツらと同じように桜とエッチしたいという欲求は滅茶苦茶に持っている。桜のアソコを使って俺は童貞卒業したいし、桜の処女も俺が貰いたいって常にそう思っている。


 でもそういう本音を言ってしまうと、どうせ周りのヤツらはすぐに俺の事を冷やかすに決まっている。だから俺はいつも桜の事はただの幼馴染だという風にしていつも誤魔化していっていた。


 もちろんいつかはちゃんと桜に告白をするつもりだけど、でも今はまだそのタイミングではない。周りのヤツらから冷やかされないタイミングをしっかりと見定めてから俺は告白をしていくつもりだ。


「ふぅん、なるほどなー。まぁでも確かに毎日一緒に昼飯を食ってるし悠斗と水島さんは仲の良い兄妹って感じもするよな……って、あれ? でもそういえばここ最近は水島さんと一緒に昼飯食ってないよな?」

「あ、確かにそうだよな。悠斗は最近俺達と学食によく行ってるもんな? はは、どうしたよ? 水島さんと何かあったのか?」

「え? あ、あぁ……まぁちょっとだけな……」


 俺はちょっとだけ渋い顔をしていった。


 友達にそう指摘されたように、俺は今までは桜とほぼ毎日一緒に昼飯を食っていたんだけど、でもここ最近は桜と一緒に昼飯は食ってはいなかった。


 しかもそれだけでなく、最近の桜は俺に弁当を作ってくれなくなったし、晩飯も作りに来て貰えなくなっていた。


 中学の頃から桜は今までずっと俺にほぼ毎日ご飯を作ってきてくれたのに、ここまで俺にご飯を作ってくれなくなったのは生まれて初めての出来事だった。


 だから俺はこの状況にちょっとだけ焦りを感じていた。


(うーん、やっぱりあれが原因なのかな……?)


 こうなってしまった心当たりが一つだけあった。実は今から二週間近く前に桜と喧嘩みたいな事をしたんだ。いや実際には喧嘩という程でもなくて、軽いじゃれ合いみたいなものだったんだけど。


 それにあの喧嘩についてはすぐに桜の方から俺に謝ってきたんだ。だからすぐにまた桜と毎日一緒に昼飯を食える日が来ると思ったんだけど……でもそんな日は未だに帰ってきていなかった。


(もしかして……桜は俺が思っていた以上に怒ってるって事なのか?)


 俺はそんな事を思っていったんだけど、でも正直そんなに怒っているような雰囲気を桜からは感じていなかった。


 確かに桜はご飯を作ってくれなくなったんだけど、でもそれ以外の部分は今までと全然変わってないしさ。昨日も桜とは普通に海外サッカーの話で盛り上がったりしてたし。


「……あ、そうだ。今の話でちょっと思い出したんだけどさ、そういえば最近二人が口喧嘩してる所って全然見てないよな?」

「あー、言われてみれば確かに? 二人が教室で喧嘩してる所最近は全然見なくなったよな。まぁ仲良さそうに話してるのはよく見かけるけどさ」

「え? そ、そうか? あ、まぁでも、確かに言われてみればそうかも?」


 急に友達はそんな事を指摘しきてきた。


 友達にそう言われるまで気がついていなかったんだけど、でも確かにそう言われてみたら桜の言葉は今までよりもちょっと優しいというか、マイルドというか……何だかあまり踏み込んだ事を言わなくなってきたような……?


(あ、あれ? でも何で桜はそんな大人しくなっちゃったんだ……?)


 俺としては桜との関係は裏表なく何でも好き放題に言い合える親友的な仲だったのが最高に楽しかったのに……それなのに何で桜はそんな大人しい感じになってしまったんだろう……?


「ん? どうしたよ悠斗?」

「えっ? あ、あぁ、いや、ちょっとな……」


 俺は内心桜の変化に焦りながらそんな事を思っていると、一緒に歩いていた友達が不思議そうな顔をしながら俺にそう尋ねてきた。


「あ、やっぱり水島さんと何かあったのか? もし何かあったようなら俺らに出来る事があるならいつでも力を貸すぜ?」

「え? えっと、まぁ、何というか……いや、俺と桜の関係は全然普通だよ。でも桜とはちょっと前に軽い喧嘩をしたから今は別々で飯を食ってるってだけさ。まぁ少ししたらまたいつも通りになるだろうから、そんなに心配なんてしなくていいぞ」

「ふぅん、そうなのか? ま、悠斗が心配しなくていいって言うんなら別にいいんだけどさ」


 とりあえず俺は友達に変な心配をかけさせたくないと思ったので、俺は咄嗟にそんな事を言っていった。

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