第27話:水島さんにプレゼントを贈る
水族館に到着してから数時間が経過した頃。
それから俺達はペンギンに餌やりをしたり、イルカのショーを見学したり、動物との触れ合いコーナに行ったりなど、水族館の中を楽しく堪能していった。
そして全てのコーナーを堪能しきった頃には時刻は夕方になってきていたので、今日はこのまま解散をする事になった。
という事で今は水族館の出入口付近にてトイレに出かけて行った水島さんが帰ってくるのを待っている所だった。
「お待たせ冴木君! いや本当にごめんね、想像以上にトイレが混んでて帰ってくるのが遅くなっちゃったよ」
「ううん、全然大丈夫だよ。よし、それじゃあそろそろ帰ろうか」
「うん、わかった!」
それからしばらく経って水島さんと合流できたので、そのまま俺達は水族館から駅前へと向かって歩いて行った。
そしてその道中で俺達は今日の水族館の感想を言い合っていった。
「うーん、今日は沢山歩いて動物達とも沢山触れ合ったりもしたから、今日は家に帰ったら疲れてすぐに寝ちゃいそうだなぁ」
「あはは、俺も家に帰ったら多分すぐに寝ちゃいそうだな。でも今日は久々に水族館に来れて本当に良かったよ。それに水島さんと一緒に水族館で沢山遊べて凄く楽しかったよ!」
「うんうん! 本当にすっごく楽しかったね! 私も冴木君と一緒に水族館に遊びに来れて良かったよ……って、あれ? 冴木君が今手に持ってる物は何なのかな? さっきまでそんな紙袋は持ってなかったよね?」
駅に帰る途中でふと水島さんは俺が手に持っている紙袋を指差しながらそんな事を尋ねてきた。
「え? あぁ、うん。これはさっき水島さんがトイレに行っている間に売店で買ってきた物なんだけどさ……それじゃあ、はいこれ。水島さんへのプレゼントだよ」
「え……えっ!? わ、私へのプレゼント?」
俺はそう言って水島さんにその紙袋を手渡していった。それは先ほど水族館の売店で買ってきた物だった。
本当は駅についてから渡そうと思ってたんだけど、まぁ今渡しても特に問題はないと思ったので俺はそのまま水島さんにプレゼントを渡していった。
「えっ!? い、いや、私は別に誕生日でも何でもないよ? というか今日は冴木君の誕生日を祝うためのイベントだったんだから、むしろ私の方からプレゼントをあげないといけないんじゃ……」
「あはは、そんなの気にしなくていいよ。俺は水島さんと二人きりで遊べただけで十分楽しかったからさ。そしてそんな一緒に遊んでくれた水島さんに俺は感謝の気持ちとしてプレゼントを送りたくなったんだよ。だから俺からの気持ちとしてこれを貰ってくれたら嬉しいな」
「さ、冴木君……う、うん、わかった! それじゃあ有難く頂戴するね!」
そう言って水島さんは少しだけ照れた感じになりながらも俺からのプレゼントを受け取っていってくれた。
「あ、それじゃあ……早速中身を見ても良いかな?」
「うん、もちろん良いよ」
「うん、わかった! それじゃあ早速……って、わ、わわっ! ペンギンのぬいぐるみだ! うわぁ……すっごく可愛いなぁ……!」
水族館の売店で買ったプレゼントとは可愛くデフォルメされたペンギンのぬいぐるみだった。水島さんはそのぬいぐるみを見ると目を輝かせながら嬉しそうに笑みを浮かべていってくれた。
「ありがとう、冴木君! すっごく嬉しいよ! あ、でも……どうしてこれを私にプレゼントしてくれたの?」
「あぁ、うん。さっきの水族館で水島さんが一番楽しんでたのってペンギンのコーナーだったでしょ? だから水島さんにはペンギンのグッズをプレゼントしようと思って売店の中を探してみたんだ。まぁそんなわけで良かったらそのぬいぐるみを大事にしてくれたら嬉しいな」
「さ、冴木君……う、うん! ありがとう! すっごく嬉しいよ! 絶対に一生大切にするね!」
水島さんは満面の笑みを浮かべながら俺に向かって感謝の言葉を送ってくれた。
「はは、そんなに喜んで貰えたのなら本当に良かったよ。あ、それじゃあさ……これからも良かったら二人きりで一緒に出かけたりしない?」
「え? それって、また水族館に行こうって事?」
「ううん、水族館だけじゃないよ。これからは水島さんと二人きりでもっと色々な所に行きたいなって。映画館とか遊園地とか海とかさ……何処でも良いからこれからも水島さんと二人きりで色んな所に遊びに行きたいなって思ってね」
「え? う、うん、それは全然良いんだけど……で、でも……あはは、二人きりで海とか遊園地とかに行くって、それって何だかまるで……で、デートみたいじゃない?」
「うん、そうだね。でも俺は水島さんとそんなデートをしたいんだ。駄目……かな?」
「え……あ……」
水島さんはちょっとビックリとした様子でそう言ってきたので、俺ははぐらかす事なく水島さんの目をしっかりと見つめながらデートがしたいとちゃんと伝えていった。
「そ、そっか……う、うん、わかったよ。それじゃあこれからも……私も冴木君と一緒に二人きりで遊びたいな……だ、だからその……うん、これからもいっぱい遊ぼうね!」
「うん、それなら良かった。それじゃあこれからも一緒に色々な所に遊びに行こうね。あ、それじゃあ水島さんが何処か行きたい所とかってあったりするかな?」
「え? わ、私の? うーん……って、あはは、やっぱりいきなりそう言われちゃうと中々思いつかないものだね」
そういうと水島さんははにかんだ笑顔を見せながらそう言ってきた。やっぱり水島さんは笑っている姿が一番可愛いな。
「はは、確かにそうだよね。それじゃあ何か思いついたらいつでも気軽に俺に行ってね? 水島さんの行きたい所だったら俺も絶対に一緒に行きたいからさ!」
「う、うん、わかった。それじゃあその……冴木君も行きたい所があったらいつでも言ってね! 私もその……冴木君の行きたい所なら……何処にでも一緒に行きたいから!」
「はは、うん、わかったよ。それじゃあ俺も行きたい所が出来たらすぐに水島さんに言うようにするね」
「うん、ありがとう! 冴木君の行きたい所を教えて貰えるの凄く楽しみにしてるね! って、あ……もう駅についちゃったね」
「あ、本当だね……」
水島さんと楽しくそんな話をしていたらいつの間にか駅前に辿りついてしまった。という事で今日はここで解散なので、俺は水島さんに別れの挨拶を送っていった。
「今日は一緒に来てくれて本当にありがとう、水島さん。今日はすっごく楽しかったよ。それじゃあまた学校でね」
「うん、私の方こそすっごく楽しかったよ! それにこのぬいぐるみもありがとう、一生大切にするね! それじゃあまた学校でね!」
そう言って水島さんは改札の中に入って行った。俺は改札に入って行く水島さんを見送ってから、俺も自分が使っている路線の改札の方に向かって行った。
(うーん、それにしても……水島さんとはもうだいぶ仲良くなれてきたな)
この数ヶ月で水島さんとはだいぶ仲良くなれてきたし、それに今日はしっかりと水島さんにこれからはデートを沢山していきたいという事も伝えていった。
よし、それじゃあもうそろそろ……夏休みに入る前までには水島さんにしっかりと告白をしていかなきゃだな。
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