第35話:水島さんとお昼を食べるようになってから数日後

 水島さんとお昼を一緒に食べるようになってから数日が経過した頃。


「それじゃあ頂きます!」

「うん、頂きます!」


 今日のお昼休みも俺と水島さんは女子バスケ部の部室に集まって二人で仲良くお昼を食べ進めていっていた。


「うん、今日のお弁当も凄く美味しいよ!」

「ふふ、そっかそっか。そう言って貰えると嬉しいよー。あ、そうだ。実は今日の卵焼きはいつもと違うアレンジにしてるから、良かったら食べてみた感想とか教えて欲しいな」

「へぇ、そうなんだ。それじゃあ早速……んっ!? めっちゃ旨っ!?」


 水島さんにそう言われて俺は早速卵焼きを口の中に入れてみた。すると中に明太子が入った卵焼きになっていてかなり美味しかった。


「へぇ、これ卵焼きの中に明太子が入ってるんだね! プチプチの触感とちょい辛な感じが組み合わさって凄く美味しいよ!」

「ふふ、それなら良かった! 実はこれ、ちょっと前にテレビの料理番組で紹介されてたレシピなんだ。テレビで見てた時に凄く美味しそうだなって思ったから作ってみたんだけど、冴木君の口に合ったようで本当に良かったよー!」

「へぇ、そうなんだ! でも初めて挑戦してみた料理もこんなに美味しく作れるなんて本当に凄いね! はは、それじゃあこれからも水島さんの初めて作る料理を沢山食べさせて貰いたいな」

「うん、もちろんだよ! それじゃあこれからも色々と新しい料理にも挑戦してみるから、そしたら冴木君にはまた感想を沢山教えて貰うからね?」

「うん、もちろん!」


 という事で俺達はそんなお弁当談義で盛り上がりながら一緒にお昼を食べていった。やっぱり水島さんと一緒にご飯を食べるのは凄く楽しいな。


◇◇◇◇


 そしてそれから数分後。


「ごちそうさまでした!」

「お粗末さまでした」


 お弁当を食べ終えた俺は手を合わせながらそう言っていった。そしてそのまま水島さんにいつも通り感謝の言葉を送っていった。


「今日も美味しいお弁当を作ってくれてありがとう! いつも本当に感謝してるよ!」

「うん、私の方こそいつも綺麗に食べてくれてありがとうね。それじゃあ明日も冴木君に美味しいと思って貰えるようなお弁当を作って来てあげるね!」

「はは、それは楽しみだな」


 という事で俺は水島さんにそう言ってからお弁当箱の片付けを始めていった。するとその時、ふと水島さんはこんな事を尋ねてきた。


「あ、そうだ、そういえばもうすぐ夏休みだよね? 冴木君は夏休みの予定とかはもう決めてるの?」

「んー、今の所はバイトの予定を入れてるくらいで、それ以外はまだ全然決めてないよ。水島さんは夏休みの予定はもう決めてあるの?」

「うーん、私も今の所の夏休みの予定は部活ばっかりかなー。あとは大会が近いから夏休みに入ったらすぐに部活合宿がある感じだね」

「へぇ、そうなんだ。夏合宿があるのはかなり大変だと思うけど部活頑張ってね! バスケ部の大会も応援してるよ!」

「うん、ありがとう冴木君!」


 という事で俺は水島さんに精一杯の応援を送っていった。でも……。


「うーん、でも……夏休みになったら毎日水島さんと会えなくなるのはちょっと悲しいな」

「え……?」


 でも俺は続けてそんな事を言ってみた。すると水島さんはちょっとビックリとしたような表情をしていた。


「ほら、今って俺と水島さんは毎日会ってるでしょ? 平日は学校があるし、土日は早朝のランニングでいつも会ってるよね。でも夏休みに入ったら学校がないから……そうなると水島さんと毎日会えなくなるのがちょっと寂しいなって思っちゃってね」

「あ、た、確かにそうだね……うん、それは私も……冴木君と毎日会えないのは寂しいかも……」


 水島さんはちょっと寂しそうな表情をしながらそんな事を言ってきてくれた。そっか。水島さんもそう思ってくれてたんだな。


「あ、で、でもね……私、夏休みの空いている日は毎日ランニングをしようと思っているんだよね……!」

「え? そうなの?」

「う、うん! さっきも言ったけどバスケの大会も近いから、休みの間も出来る限りは運動をしておこうって思っててね。そ、それで、その……も、もしも冴木君が良ければなんだけど……夏休みの間も一緒にランニングをしない? あ、もちろん冴木君が時間がある日だけで良いんだけど……」


 水島さんはちょっと顔を赤くしながらそんな事を言ってきてくれた。なので俺は……。


「うん、わかったよ! それじゃあ俺も空いてる日は毎日水島さんのランニングに付き合うよ!」

「え……えっ!? ほ、本当に良いの!? でも冴木は別に運動系の部活に入ってるわけじゃないのに……そ、そんな毎日は付き合わなくていいよ?」

「いやいや、俺にも毎日付き合わせてよ。だって俺はこれからも水島さんと毎日のように会いたいんだからさ。だから夏休みの間も毎日一緒にランニングをしようね!」

「さ、冴木君……う、うん、わかった! それじゃあ夏休みも一緒に沢山走ろうね!」

「うん、もちろん! あ、それだけじゃなくてさ、良かったら夏休みになったら一緒に色々な所に遊びに出かけない?」

「あ、うん! 私も夏休みは冴木君と一緒に遊びたいな! ふふ、それじゃあ夏休みに遊びに行く計画も沢山立てていこうね!」

「そうだね。水島さんと一緒に過ごす夏休みが今からとても楽しみだよ」

「うん、もちろん私もだよ! 私も冴木君と過ごす夏休みが……ふふ、今からすっごく楽しみだよ!」


 水島さんは俺の言葉を聞いて満面の笑みを浮かべながらそう答えてくれた。その笑みは本当に可愛くて素敵な笑顔だった。


(うん、やっぱり……俺は水島さんの事が大好きなんだよな)


 俺はそんな水島さんの素敵な笑顔を見て決心がついた。今度の土曜日に俺は水島さんに告白をしていこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る