第9話:それからさらに一ヶ月程が過ぎた頃
それからさらに一ヶ月程が経過した土曜日の朝。
「はぁ、はぁ……ふぅ。お疲れさま、水島さん」
「うん、お疲れさま、冴木君」
今日も俺は水島さんと一緒に早朝にランニングをしていた。
そしてそのランニングが終わると俺達は芝生に座りながら雑談をして交流を深めていくというルーティンをこの一ヶ月間ずっと続けていっていた。
そしてそのおかげで俺は水島さんとかなり仲が良くなる事が出来た。おそらく水島さんも俺の事は相当仲の良い男友達だと思ってくれているはずだ。
「いやー、やっぱり身体を動かすのって凄く気持ち良いよね。せっかくだしランニング以外にも色々と身体を動かす事をやってみたいな」
「うんうん、身体を動かすのって本当に気持ち良いよね! あ、それじゃあ今度はランニング以外でも何処か一緒に遊びに行ったりしよっか? バッティングセンターとかボーリングとかさ、冴木君のやりたい事があれば私がいつでも付き合うよ! 私も身体を動かすのは大好きだからいつでも気軽に誘ってくれて良いからね!」
「え、良いの? うん、わかった。それじゃあ御言葉に甘えて何かやりたい事を見つけたら誘うよ!」
「うんうん! いつでも気軽に誘ってね!」
という事で俺はついに水島さんをランニング以外でも気軽に遊びに誘える仲にまで発展させる事が出来たのであった。
それもこれもここまで地道に親交を深めていった結果だ。そしてこれからも慢心せずにしっかりと親交を深めていこう。
「さてと、それじゃあ今日もしっかりとランニングもしたことだし、今日はそろそろ解散にしようか?」
「あ、うん、そうだね! って、あっ……ご、ごめん! ちょっと待って!」
「うん? どうしたの水島さん?」
俺がそう言って芝生から立ち上がろうとしたら、急に水島さんは慌てて俺の事を呼び留めてきた。
「あ、え、えっとね、実はちょっと……冴木君に相談したい事があるんだけどさ……」
「相談? うん、もちろん構わないけど、でも一体どうしたの?」
「う、うん。えっとさ……相談っていうかちょっと聞きたい事があるっていうか……あのさ、男の子って誕生日にはどんなプレゼントが欲しいって思うものかな?」
「え? 誕生日プレゼント?」
水島さんの尋ねたい事とは誕生日プレゼントにどんな物が欲しいかという内容だった。でもそんな事を聞いてくるって事はもしかして……。
「……あ、もしかしてもうすぐ川崎の誕生日とかだったりするのかな?」
「え? あ、う、うん、実はそうなんだ……」
俺がそう尋ねると水島さんは少しだけ顔を赤くしながらそう答えてきた。
「はは、なるほどね。でも川崎への誕生日プレゼントなら俺に聞くよりも水島さんのあげたいと思うプレゼントを渡した方が喜ぶんじゃないかな?」
「い、いやそれがさ……去年は日常的に使える物が良いだろうと思ってちょっと質の良い筆記用具を誕生日プレゼントにあげたんだけどさ、でも悠斗はその筆記用具を全然使ってくれないのよ……」
「へぇ、そうなんだ? でも質の良い筆記用具をプレゼントするなんて普通にセンス良いと思うけどね。凄く実用的だし俺だったらめっちゃ嬉しいけどなぁ」
「そ、そうだよね? 私もそう思って実用的な筆記用具をプレゼントしたのにさぁ……それなのに悠斗は結局一度も使ってくれないのよ! だからそれがもう凄く悔しいから今年は悠斗の欲しい物をあげてぎゃふんと言わせてやろうかなって思ったのよ!」
「はは、なるほどね」
去年の誕生日プレゼントが喜ばれなかったのが凄く悔しいから、今年は喜ばれる誕生日プレゼントを渡してビックリとさせてやりたいというのは、何とも水島さんらしいなと思って俺は少しだけ笑っていった。
(はは、まぁでも仕方ないな。水島さんに頼られてしまったからにはちゃんと真面目に答えていってあげよう)
という事で俺は水島さんの質問に誠意を持って真面目に答えていく事にした。
「うん、わかったよ。それじゃあ俺も水島さんと一緒に川崎への誕生日プレゼントを考えていってあげるよ」
「え、本当に!? ありがとう、冴木君! 男子目線の意見が貰えるのは本当に助かるよ!」
「はは、水島さんにそう言って貰えると嬉しいよ。でも誕生日プレゼントで男子が欲しがりそうな物か。うーん、俺だったら水島さんからちょっと高めのペンを貰えたら普通に嬉しいからなぁ……だからもしかしたら川崎とはちょっと感覚が違うのかもしれないなー」
「あ、そ、そっか。うん、まぁ確かに欲しい物は人それぞれで違うもんね」
「うん、そうだよね。まぁだからさ、今回は普通に川崎の好きな物をプレゼントするってのはどうかな? 例えば川崎の好きな事とか趣味だったり……って、あれ? そういえば川崎って何か好きな趣味とかあったりするのかな?」
そういえば俺は川崎の趣味とか好きな事は知らなかったので、俺は水島さんにその事について尋ねていってみた。
「うーん、悠斗の趣味かー……あ、そういえば悠斗はゲームをよくやってるイメージがあるよ。私はあんまりゲームはやらないからわからないんだけど、でも確か悠斗は休みの日にはいつも友達とパソコンで通話をしながらワイワイとゲームで遊んでる気がするよ」
「あ、なるほどー。確かに今は格闘ゲームとかFPSゲームとか色々なのが流行ってるもんね。それじゃあゲーム関連の何かをプレゼントするとかはどうかな? 川崎も好きなゲーム関連の何かだったら普通に嬉しいんじゃないかな?」
「あ、それは良いアイデアかもしれないね! あ、でも……正直私はゲームに関してはかなり疎い方なんだよね……だから悠斗に遊んでるゲームの名前を教えて貰ってもあんまりピンと来ないかもしれないわ……」
「あはは、確かに普段ゲームをしない人にとってはゲームの名前なんて聞いても呪文にしか聞こえないよね。うん、わかったよ。それじゃ俺が水島さんの代わりに川崎にそれとなく好きなゲームとか今一番欲しい物とかもないかちょっと聞いてみるよ」
「えっ!? ほ、本当に!? あ、ありがとう、冴木君! それはすっごく助かるよ!」
「はは、全然いいよ。というか俺達はもう友達なんだからさ、もっと気軽に俺の事はいつでも頼ってくれていいんだからね?」
「うん、わかったよ! ふふ、それじゃあ冴木君こそ、何かあったらいつでも私を頼っていいからね? 困った事があったらいつでも助けてあげるからさ!」
「ありがとう。それじゃあ俺も何かあったらすぐに水島さんに相談させて貰う事にするよ」
「うんうん! いつでも私の事を頼ってくれて良いからね!」
そう言って水島さんは優しく笑みを浮かべてきてくれた。
(よし、それじゃあそんな優しい水島さんのためにも頑張って川崎から情報を聞き出してみるとするかな)
という事で俺は翌週の月曜日に川崎に誕生日プレゼントについての話を聞いてみる事にした。
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