第4話:それから一ヶ月程が経過した頃
俺が都内の高校に転校してから一ヵ月近くが経過した頃。
「おはようー」
「あ、冴木君おはよー」
早朝、俺は学校に登校して自分の教室に入っていくと、まずはクラスメイトにしっかりと挨拶をしていった。
俺はこの一ヵ月の間にクラスメイト達との交流をしっかりと深めていっていた。理由はもちろん色々な情報を集めていくためだ。
そして俺が交流を深めていっていたクラスメイトの中にはもちろん……。
「あ、水島さん、おはようー」
「あぁ、冴木君、おはようー! 佐伯君は昨日のドラマ見た?」
「もちろん見たよ。ラストシーンめっちゃ面白かったよねー」
「うんうん! 本当にすごく良かったよね! あ、それじゃあ後で昨日のドラマの感想を語り合おうよー!」
「うん、もちろん良いよー」
そしてもちろんだけど、俺はこの一ヵ月の間に水島さんとも気軽に雑談をしあえる仲になっていた。
(まぁそもそも水島さんと付き合いたいと思っているんだから、まずはそんな彼女と友達にならなきゃ話は始まらないもんな)
そんなわけで俺はこの一ヵ月の間に水島さんを含めた全クラスメイトと友達になる事が出来ていた。まぁ元々地方の田舎に住んでいて色々な人とコミュニケーションを取るのは得意な方だったので、クラスの全員と親しくなるのは容易だった。
という事で改めて、俺が今話している女の子は水島桜という女子生徒だ。
身長は160センチ前半でスラっとしたスレンダー体型をしており、髪型はサラサラの黒髪ミディアムヘア、見た目はとても可愛らしく愛嬌抜群の素敵な女の子だ。
性格は結構サバサバとしている所もあり、男友達と話してるような軽いノリもあってとても接しやすい女の子だった。いやマジで性格も容姿も愛嬌も抜群って凄すぎる女の子だよな。
そして部活は女子バスケ部に所属しており、趣味はランニング、バスケ、バッティングセンターなどの身体を動かす事全般。あとは料理をするのも大好きらしい。
それとこれは以前に川崎から聞いたんだけど、どうやら水島さんは俺の家の近くにある“空池公園”でいつも趣味のランニングをしているらしいんだ。という事はもしかしたら……水島さんや川崎とは家がご近所の可能性もありそうだな。
まぁでも流石にプライバシー的なあれがあるだろうから水島さんが具体的に何処らへんに住んでるかまでは聞いてない。だってそれは流石にストーカー行為になっちまうしな。
という事で俺がこの一ヵ月の間に手に入れた水島さん情報はざっとこんなもんだ。一ヶ月間しかなかった割には沢山情報が集まって本当に良かった。
「……? どうかしたの冴木君?」
「えっ? あぁ、いや、何でもないよ」
そんな感じで俺はこの一ヶ月間の出来事をぼーっと思い出していっていたら、水島さんが怪訝そうな顔をしながら俺の事を見つめてきていた。なので俺は何でもないと言って咄嗟に誤魔化していった。
「……って、あれ? そういえば今日は川崎は一緒じゃないの?」
そしてその時、俺は水島さんの隣に川崎がいない事に気が付いた。
水島さんはいつも川崎と一緒に朝は登校してきていたので、水島さんの隣に川崎がいないのは何だか珍しい気がした。
「え? あぁ、うん。悠斗は今は部活のミーティング室に行ってるよ」
「あ、そうなんだ。それじゃあ今日も一緒に登校してきたんだね。はは、やっぱり川崎と水島さんってめっちゃ仲良いよねー」
「うーん、いや仲が良いっていうよりも、ただ単純に悠斗が毎日朝に起きてくれないだけなんだよ。だから私がいつもしょうがなく起こしに行ってるだけなんだけどさぁ……はぁ、全くもう……たまには一人で起きて欲しいわね、ふふ……」
「はは、そっかそっかー」
俺がそう尋ねると水島さんはプリプリとそんな愚痴を溢していっていた。でも別にそれは本当に怒っているという訳ではなく、むしろ水島さんは楽しそうな顔をしながらそう喋っていた。
「でも水島さんは本当に凄いよね。川崎を毎日起こしに行ってるだけじゃなくて、お弁当も毎日作ってるんでしょ?」
「うん、まぁね。でも私は料理をするのは大好きだからその事に関しては全然良いんだけどね。ほら、試しに始めて作ってみた料理の実験相手にも使えるしね」
「はは、なるほどね。確かに川崎がいれば新しい料理を気軽に挑戦出来て良さそうだね」
という事でなんと川崎は毎日水島さんに起こして貰ってるだけじゃなく、毎日お昼のお弁当までも水島さんに用意して貰っているのだ。
いやもはやカップルを通り越して夫婦みたいになってんだなって俺は少しだけ思った。
(でもこれだけ距離感が滅茶苦茶近いのに付き合ってないってビックリだよなぁ……)
俺の地元でも毎日一緒に学校に登校したり、毎日ご飯を作ってあげたりするような人達は少なからずいたけど……でもそんな人達は漏れなく全員付き合っていたからな。
(ってかこれだけ水島さんに尽くして貰ってるのに、水島さんの事をゴリラ女だとか口煩いだとか酷い事言い過ぎだろアイツ……いや流石にちょっとガキ過ぎるなぁ)
ま、でも川崎にはこれからもガキのままで居て貰った方が俺としては助かるから別に良いんだけどさ。
だからこれからも大人になれずにずっと子供のままでいてくれよな、川崎。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます