第29話:翌日の早朝に水島さんとランニングをする
翌日の日曜日の朝。
俺は家の近くにある押野公園に来ていた。理由はもちろん今日も水島さんとランニングをするためだ。
「ふぁあ……でもちょっと眠いなぁ……」
俺は大きく欠伸をしながらそんな事を呟いていった。昨日は久々の水族館という事で俺もテンションが上がってちょっとはしゃいでしまって、その疲れが今も少しだけ残っていた。
だから今日のランニングは大事を取って休むという選択肢も取れたんだけど、でも俺はランニングを休むよりも水島さんと一緒にいられる時間を取る事を優先した。
だから今日もいつも通り水島さんと一緒にランニングする約束を交わしておいたんだ。
(まぁでもそんなのは当たり前の話だよな。男なら好きな女の子と一緒にいられる方を取るに決まってるよな)
という事で昨日は水島さんと水族館に遊びに出かけて、今日は水島さんとランニングをしていくという事で、今週もしっかりと毎日水島さんとの交流を深める事が出来ていった。
「水島さんと毎日しっかりと交流が出来るなんて本当に嬉しい日々だよな……って、あ、きたきた」
軽く準備体操をしながらそう呟いていると、俺の方に早歩きで近づいてくる女の子がいた。もちろんそれは水島さんだった。
「おはよう、水島さん」
「あ、あぁ、うん。お、おはよう、冴木君……!」
俺はいつも通りの感じで水島さんに挨拶をしていくと、水島さんは顔を赤くしながら俺に向かって挨拶を返していってくれた。
(あれ? 何だか今日は顔が赤いな? あ、もしかして……)
どうやら昨日水島さんと二人きりで水族館に行った事で、水島さんは俺の事を少なからず男として意識してくれてるようだった。
よし、それじゃあここからもう少しだけ水島さんとの距離を詰めていく事にしよう!
「昨日はありがとう水島さん! 水島さんと二人きりで水族館を巡れて本当に楽しかったよ!」
「あ、う、うん、こちらこそ! 私も冴木君と水族館を一緒に行けて凄く楽しかったよ!」
「はは、それなら良かった! それじゃあまたこれからも一緒に色々な所に遊びに行こうね?」
「う、うん、もちろん! 私もまた冴木君と一緒に遊べるのを凄く楽しみにしてるからね!」
「うん、わかったよ! あ、それとさ、もし良かったら……これからは学校で一緒にお昼ご飯を食べない?」
「え……? 学校でお昼を?」
「うん、そうそう」
という事で俺は水島さんにそんなお願いをしていってみた。もちろん俺がそんなお願いをしていったのには理由がある。
実はここ最近の水島さんは教室以外の場所で一人で食べているようなんだ。今までは川崎と一緒に教室でお昼ご飯を食べてたのに、今はお互い別々にお昼ご飯を食べているらしい。
(まぁそうなった原因はもちろんアレなんだろうけど)
おそらくは誕生日プレゼントを勝手に他人に渡したのが原因になってるんだろうな。
いやそれが本当の原因かどうかなんて実際にはわからないんだけど……でもその原因について深く調べるつもりなんて俺には一切ない。
今わかっている事は水島さんは川崎と一緒にお昼ご飯を食べるのを止めたという事実だけだ。そしてその事実だけがわかっていれば他の事象になんて興味はない。
という事で俺はこれを最大のチャンスだと捉えて水島さんにお昼を一緒に食べたいとお願いをしていったというわけだ。
「え、えっと、いや私は全然良いんだけど……でも、良いの? 冴木君は他の友達と毎日一緒にお昼ご飯を食べてるんじゃないの?」
「うん、まぁ確かに普段は倉持とかと一緒に食べてるけど、でも俺はさ……もっと水島さんの事を深く知りたいんだ」
「え……えっ!?」
「だからそのためにも水島さんと毎日一緒にお昼休みを過ごしたいなって思ったんだよ。だから良かったら……これからもっと水島さんと仲良くなるためにも一緒にお昼ご飯を食べたいんだけど……駄目かな?」
俺は水島さんの目をしっかりと見つめながら真剣にお願いをしていった。すると水島さんは……。
「そ、そっか……私の事をちゃんと知りたいって思ってくれるんだ……う、うん、わかった。そ、それじゃあその……実は私も冴木君の話をもっと沢山聞きたいって思ってたから……だ、だからこれからは一緒にお昼ご飯を食べようよ」
「うん、わかった。ありがとう水島さん」
水島さんは顔を真っ赤にしながらも、俺と一緒にご飯を食べてくれる事を了承していってくれた。
こうして水島さんとこれからは毎日一緒にお昼ご飯を食べる事が決定した。あ、でもそういえば……。
「あ、でもそういえばさ、水島さんってお昼ご飯は何処で食べてるの? 最近は教室でご飯を食べて無いよね?」
「え? あ、あぁ、うん……まぁちょっと色々あってね。最近は女子バスケ部の部室に行って一人で食べてるんだ。あ、それじゃあ良かったらさ……これからは一緒に女子バスケ部の部室でお昼を食べない? お昼休みは基本的に私以外誰も使ってないから冴木君が入って来ても大丈夫だよ」
「え? 俺が女子バスケ部の部室に入ってもいいの? 女子の部活なのに男の俺が部室に入るのって何か問題とかない?」
水島さんはそんな提案をしてきてくれたんだけど、流石に男の俺が女子バスケ部の部室に入っても良いのかわからなかったので、俺はしっかりとその点を尋ねていった。
「ううん、別に問題無いよ。だって更衣室は別の場所にあるし、着替えとかそういうのが散乱してるわけじゃないからね。備品とかホワイトボードとか机とかが置かれてる普通のミーティング室って感じだから男子でも別に入れるよ」
「あぁ、そっか。それなら俺でも入って大丈夫そうだね。うん、それじゃあ水島さんのお言葉に甘えて、明日は女子バスケ部の部室にお邪魔させて貰っても良いかな? あ、俺は購買でパンとか買ってから部室棟の方に向かうから、明日のお昼は先に部室に行っておいて良いからね」
「うん、わかった! それじゃあ先に行って部室の鍵を開けて冴木君が入れるように準備しておくね!」
俺がそう言っていくと水島さんは満面の笑みを浮かべながらそう返事を返してきてくれた。
「うん、ありがとう。それじゃあ明日のお昼休みは楽しく話しながらご飯を食べていこうね」
「うん、わかった! ふふ、それじゃあ明日のお昼休みは冴木君の色々な過去話とかを根掘り葉掘り聞かせて貰おうかなー?」
「あはは、もちろん全然良いよ。何でも答えるから聞きたい事があったら何でも聞いてね?」
「うん、ありがとう、冴木君!」
という事で俺達は明日のお昼についての話を楽しくしながら今日のランニングを始めていった。
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