子供の頃からずっと一緒だから何をしても大丈夫だと思って調子乗ってるヤツから可愛い幼馴染を奪い取ってみた話。

tama

第1話:地方から転校してきた初日

・まえがき


今執筆している『NTR不良男』が長編ストーリーになってきているので、もう少し気軽に読めるような中編のBSSを作ってみました。20~30話くらいで終わる予定です。


設定や内容など近しい部分もあるかと思いますが、本作品はサクっと終わらせますのでスナック感覚で楽しんで頂ければ幸いです。こういうタイプのBSSがお好きな方は是非とも楽しんでいってください。


――――


 俺の名前は冴木佑馬。高校二年生の男子学生だ。


 今まで地方の田舎でずっと暮らしていたんだけど、両親の仕事の都合でつい先日東京に引越して来た。


「初めまして、冴木佑馬と言います。よろしくお願いします」


―― パチパチパチパチ


 そして今日は転校初日。


 都内の高校に転校してきた俺は早速朝のホームルームで自己紹介をしていった。全体的に温かい歓迎を受けていったのでとりあえずは一安心した。


 ホームルームが終わって自分の席に着席していくと、隣の席に座っていた男子生徒が俺に話しかけてきてくれた。


「よう、転校生。俺の名前は倉持雄二っていうんだ。よろしくな」

「ん? あぁ、自己紹介ありがとな。俺は冴木佑馬だよ。改めてよろしく」


 俺の隣に座っている男子生徒の名前は倉持雄二というようだ。身長は170センチ前半で中肉中背の体型をしていた。


 髪型は茶髪のショートヘアにしており、何となく明るい感じの男子学生という雰囲気を感じとった。


「それで? 冴木はどこから引越してきたんだよ?」

「ん? あぁ、俺は関西の田舎の方から引越して来たんだ。今までずっと田舎な所に住んでたからさ、東京に来たら大都会過ぎてめっちゃビビってる所だよ」

「はは、確かに東京に引越して来たばかりだとそういうのは感じるかもしんないよな。それじゃあ何か困った事があったらいつでも言ってくれよ。俺で良ければいつでも手助けしてやるからさ」

「あぁ、それは凄く助かるよ。あ、それじゃあ良かったらLIME交換しないか?」

「もちろん良いぜ! それじゃあ今からQRコードを送るからそこから友達登録していってくれるか?」

「あぁ、わかった。ありがとな、倉持」

「はは、いいって事よ」


 という事で早速俺は倉持とLIME交換をしていった。東京に引越して来て初めての友達が出来た瞬間だった。


 まだまだ東京に引越してきてわからない事が沢山あるし、何か困った事があったら倉持を頼っていくとするかな。


「いやそれにしてもさ、冴木ってめっちゃイケメンだよなー。もしかして彼女とかいるのか?」

「はは、そりゃどうも。でも残念ながら今はいないよ」

「へぇ、そうなのか? ふぅん、それは意外だなー」


 LIME交換を終えると、急に倉持は俺の顔を見ながらそんな事を言ってきた。


 まぁ自分で言うのもアレなんだけど俺の容姿は割と整っている方だ。だから今まで女の子と遊ぶ機会にはそれなりに恵まれていたし、何回か彼女を作って楽しく青春を過ごしてきたりもした。


 でも東京に引っ越す事が決まってからは、彼女と円満に別れてしばらくは真面目な青春を送っていた。だって流石に遠距離恋愛になるのは思春期男子としてはかなりキツイしな。


 まぁでも無事にようやく東京に引越して来れたわけだし、これからはまた彼女を作って楽しく青春を過ごしていこうと考えていっていた。


 ま、それにやっぱり女の子と楽しく遊ぶのが男子高校生としての健全的な過ごし方だと思うしさ。


「あ、それじゃあさ、今度近くの女子高と合コンするんだけど、良かったら冴木も来ないか? 冴木が来てくれたら向こうの女子達も絶対に喜ぶだろうしさ」

「へぇ、合コンかー、それは何だか楽しそうだな。でもまだ東京に引っ越してきたばかりだから今はそういうのは遠慮しておくわ。今すぐに彼女を作ったとしても遊ぶ所とかまだ全然何にもわかんないしさ。だから東京に慣れだしてきてからまた誘ってくれると助かるよ」

「あ、なるほど、確かにそれもそうだな。わかった、それじゃあまたの機会に誘わせて貰うわ」

「あぁ、わかった。色々とサンキュー……って、あれ?」


―― ワイワイ、ガヤガヤ……!


 倉持とそんな話で盛り上がっていると、突然と教室の前の方で何やら喧騒の声が広がってきていた。


「だ、だからゴメンって言ってるじゃん! 許してくれよ桜!」

「嘘ばっかり! どうせ本当はゴメンなんて思ってないでしょ! はぁ、全くもう……今日の事はオバさんにしっかりと言いつけるからね! 悠斗!」

「えっ!? そ、それは流石に止めてくれってー!」


「……な、何だあれ?」


 どうやらその喧噪の声の正体は二人組の男女による口喧嘩によるものだった。でも周りにいる生徒達はその口喧嘩を止める様子は全くなさそうだった。


「なぁ、倉持。あの二人は何だか言い争ってるみたいだけど止めなくていいのか?」

「ん? って、あぁ、何だアイツらの事か。あれはいつもの痴話喧嘩だから気にしないでいいぞ」

「痴話喧嘩?」

「あぁ。あの二人は幼馴染同士でめっちゃ仲良いんだよ。だから喧嘩もしょっちゅうしてるんだけど、いつもすぐ仲直りするから気にするだけ損だぞ」

「へぇ? 幼馴染ねぇ……」


 どうやらあの二人組の男女は幼馴染という間柄らしい。そう言われて俺はもう一度その幼馴染の男女の様子を眺めてみる事にした。


「わ、わかったよ! それじゃあ今回は本当に悪いって思ってるからさ……だから近くに新しく出来たケーキ屋さんあるだろ? 今度あそこで好きなケーキを何でも奢ってやるよ。ほら、桜って甘い物好きだろ?」

「うっ……そ、それはちょっと魅力的な話ね……はぁ、もうわかったよ。それじゃあ今回はそれで許してあげるわよ。ふふん、でもその代わりに一番高いケーキを注文させて貰うからね?」

「はは、あぁ、わかったよ」


 どうやら二人の口喧嘩に決着が着いたようだ。いや倉持が言ったように本当にすぐに仲直りをしていっていたな。


 そしてつい先ほどまで口喧嘩をしていた割には険悪なムードが一切漂っていないというか、むしろ楽しそうな雰囲気が終始流れている所を見ると……。


(あぁ、なるほど、あの幼馴染の二人組は付き合ってるって事か)


 さっきも倉持はあの二人の言い争いの事を“痴話喧嘩”だと言ってたし、つまりはそういう事なんだろう。まぁただのカップルの痴話喧嘩なんて周りのヤツらも気にするわけないよな。


(うーん、それにしても……)


「なぁ、倉持……あの女の子めっちゃ可愛くないか?」


 俺はその痴話喧嘩をしていた幼馴染カップルの女子の方を見つめながら倉持にそう言っていった。


「あぁ、ひょっとして水島さんの事か? 確かにめっちゃ可愛いよな」

「へぇ、水島さんって言うのか」


 あの女の子の名前は水島さんと言うらしい。


 水島さんの見た目は身長は160センチ前半くらいで全体的に引き締まったスレンダーボディをしている。おそらくその身体付きからして運動系の部活に入っている雰囲気は感じ取れた。


 そして髪の毛は黒髪のミディアムヘアにしており、顔付きに関してはアイドル級に可愛い顔付きをしていた。思わずな生唾を飲んでしまう程に凄く可愛いかった。


 ちなみに幼馴染の男の方は身長170センチ台の普通体型で見た目は爽やかな感じの男子学生に見えた。何となくだけどラブコメ漫画の主人公とかに似た感じの見た目だなと俺は直感的にそう思った。


「はは、あんな可愛い幼馴染の彼女がいるなんてあの男子学生がめっちゃ羨ましいな。しかも同じクラスに彼女がいるとかきっと毎日楽しいだろうなー」


 俺はその幼馴染カップルを眺めながらそんな事を言っていった。


 転校してきたばかりの俺としては同じクラスにあんなにも可愛い女子がいるなら速攻で仲良くなりに行くんだけど、でも彼氏持ちなら今回は諦めるしかないな。


 流石に俺だって他人の彼女を奪うようなマネをするつもりは全くないしさ。


「ん? いや、別にあの二人は付き合ってる訳じゃ無いらしいぞ?」

「え……って、えっ!? そ、そうなのか? 二人ともあんなに凄く仲良さそうにしてるのに付き合ってないのかよ??」


 倉持からそんな衝撃的な事実を聞かされて俺は少しだけビックリとしてしまった。


「あぁ、そうらしいんだ。もちろん俺達だって今までに何度も本当は付き合ってるんだろって聞いていったりもしたんだけど、でもあの二人はいつも付き合ってないって強く否定してくるんだよ」

「ふぅん、そうなんだ? いやでもあの二人ってどう見ても両思いだよな? 傍から見てもそんなのわかるってのに……それなのに何であの二人は付き合わないんだよ?」


 どう見てもあの二人は両想いなのに付き合ってないというのは意味がわからなくて俺は倉持にそう尋ねていった。


 だって俺があの男子生徒の立場だったら速攻で水島さんに告白してると思うからな。それなのにあの男子生徒が水島さんに告白しないという事は……。


(うーん、もしかして俺と同じ理由でどっちかが何処か遠くに引っ越す予定があるとかか?)


 それとも他に何か告白出来ない深刻な理由でもあるのかな? 例えば実は許嫁がいるから幼馴染の付き合う事が出来ない、みたいなラブコメ漫画っぽいイベントでも起きてたりするのかな?


「んー、いや流石にそこまでは知らんよ。それは本人たちに聞いてみてくれよ」

「あぁ、そうだよな。わかった、それじゃあちょっと本人に聞いてみる事にするよ」


 という事で俺はそんな疑問を解決するために幼馴染の男子に話を聞いてみる事にした。さてさて、一体どんな理由があるんだろうな?

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