エピローグ
未来の話
ようやく出来上がった新築の家を見上げる。
ローンを組んで買った念願のマイホームだ。
家族四人だと手狭になっていたアパートから引っ越して、今日からここに住む。
「パパー! あたし二階のあっちの部屋がいいー!」
「あー! ずるいんだー! 俺だってあっちの部屋がよかったのに!」
小学校に上がったばかりの双子の子供がはしゃぎながら家の中に入っていく。
「こらー! 荷物があるのに走ったら危ないでしょー!」
「わー! ママが怒ったー!」
「逃げろー!」
「もう! まったく……あなたからも後から言ってあげてね?」
そう言って困ったように微笑む結衣は、あの頃と変わらないままずっと可愛らしい。
「そうだな……後でちゃんと言っておくよ」
「お願いね? あなた」
結衣が俺のことを「イツキ」から「あなた」と呼び方を変えて、もうずいぶんと経った。子供ができてからは「あなた」と「パパ」呼びの二刀流だ。
俺は相変わらず結衣って呼んでるけど、子供の前では「ママ」って呼んでたり……俺も二刀流みたいなもんか。
「今度陸のところの家族も呼んで庭でバーベキューでもしようか。子供たちも陸のところの子供たちに会えて喜ぶだろうし」
「そうだね……。沙織たちの予定も聞いて、近いうちに呼んじゃおうか!」
「そうしようか」
お互いの顔を見ながらこれからの予定を決める。優しく微笑む結衣に、俺の顔はだんだんと吸い寄せられていって――
「あー! パパとママがちゅーしてるー!」
「ほんとだー! ちゅーしてるー!」
子供たちの声に慌てて顔を離す。
キスをしている姿を子供に見られた結衣は顔を真っ赤にしていて――
「続きは今夜、久々に……ね? イツキ」
「結衣……!」
久々の「イツキ」呼びに、嬉しくなって結衣に抱き着いてしまう。
その姿を子供たちに見られてまたからかわれたり。
「結衣。俺今、結衣のおかげですごい幸せだよ。ありがとな」
「私こそ、ありがとうイツキ。イツキのおかげで私、ずっとずっと幸せだよ――――」
【何万回の夜を過ごしても忘れないような、愛してるを君に送るから】
終わり
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