どっちにする?

えいみ

ときめいちゃった

第1話

レントゲンを撮った。


「うん、骨折はしてないね」


「ありがとうございました」


念の為と言われて病院で撮ったけど、骨折れてたらわかるし。全く、無駄な時間を過ごしてしまった。


「…逢坂あいさかさん?」


「…はい」


あー、今ここは警察署だ。取り調べしてたっけ?忘れちゃった。


「睡眠薬がまだ効いているようですね。ご家族はお迎えに来られますか?」


「…大丈夫です。帰れます」


はー疲れた。大好きなカエさんとの楽しい補講だったってのに。厄介ごとに巻き込まれた。仕事入れてなくてよかった。


…あ、今日お茶だったー。メールしておこ。


「学校で、先生といざこざがあり、警察署に行ってるので休みます」


メールを打って、しばらくぼんやりしてから帰ることにした。免許の更新とか、そういうのをする人たちが座る椅子でぼけーっとした。タクシー乗るのもめんどくさい。歩いて帰るか。


ぼーっと歩いていると、前から着物を着てる人が走ってきた。足速いな…


「さっちゃん」


…あれ、止まった。


「大丈夫ですか?なにがあったんですか?」


「なんで、…ここに?」


すると、いきなり抱き抱えられる。


「とりあえず、教室で休みましょうか」


「…え、でも、ここから遠いよ?」


「仕事はないんですか?」


「ない…」


「髪の毛が見えていますが、大丈夫でしょうか?」


「…あ、はい。眠たい…」


抱えられたまま、目を閉じてしまった。

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