第10話

零はたぶんたくさん食べられる。いつもはたくさん食べていないのかもしれないが。


「外食はしないの?」


「お金がなくて…」


「…お小遣いは?いくら?」


「月に1万です。各仕事につき1万です。個展したら増えます」


「ちゃんとお金稼いでるのに、ほとんどあげちゃうんだ」


「子供のためです」


「そうなの?私は零からお金取らないから」


「あ、家賃…」


今頃。


「その代わりに、家事を手伝って」


「…僕に、できるのでしょうか」


「できたでしょ?お皿洗い」


「あ、はい…よかったです」


それから、シチューをついだり、ごはんついだりも手伝わせた。


「給食以来の仕事でした」


「お手伝いしてよね」


「はい」


嫁はいったいなにを考えてたんだ?子供を触ってもダメとか、零はバイキンか?


「おいしいです!とてもあたたまりますね」


「そうでしょ?」


「こうやって、話しながら食べるのが…実は…すごい好きなんです」


「私もだよ」


「…はい」


零は嬉しそう。私も嬉しい。誰かと食べるのが当たり前だったけど、一人暮らしになったから寂しくて。メンバーは絶対呼ばないけど。

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