教えて先生

第9話

「すごぉーなにこれー」


帰ったら部屋は文字を書いた紙だらけ。零は床に座って紙を見ているためか、無視。


「零、ただいまー」


「わ、さっちゃん!おかえりなさい」


抱きつかないと気が付かないとか。集中していたようだ。


「すみません、散らかして…」


「綺麗な字だね。練習してるの?」


「…個展に、出す予定で。でも、うまく書けなくて」


「じゃ、これいらないの?」


「…はい」


「ならさぁ、まとめておこうよ。箱…えーっとーこれあいてる。これに入れて」


「…怒らないんですか?」


「なんで。いいから、それやっててね。ご飯作る」


「ありがとうございます」


零はさっさと取り組む。キッチンにはちゃーんと洗ったお茶碗が所狭しと並ぶ。重ねていいのよー。それを拭いてから片付けて、あ、制服着替えなきゃ。


零は全ての紙を拾い終わっていた。書道の道具の片付けをはじめたようだ。ジャージに着替えた私は、料理開始ー


「さっちゃん、いつも料理をされるんでしょうか?」


片付け終わった零はキッチンの前にやってきた。


「そうだよ。昼何食べたの?」


冷蔵庫に入れてあるもの食べていいと言ってたけど、減ってなかった。


「食べていませんでした」


「…食べ忘れ?」


「はい、集中すると忘れます」


「私のお昼は学食。寒いから今日はシチューにします」


「…シチューは家で作れるものなのですか?」


「家で食べてないの?」


「はい。和食なので」


「え〜なにそれ?決まりなの?」


「いえ?なぜか…」


なぜ?

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