第35話

「そっか。なら、さっさと別れろ。その彼女といて楽しいのか?」


「はい!さっちゃんは、一緒にいて楽しくて」


「…なんで夜にサングラス?」


「私、アイドルしてて…」


知らないかもしれないが、サングラスを外して、被ってたキャップもとる。


「う、そ…え、テレビで見たことある」


「知って頂けてたみたいで嬉しいです」


「いや、そんな喋り方だったっけな」


「あれは仕事用なんで」


「へ、へぇ…めちゃくちゃしっかりしてんな」


バカだと思われてただろう。


「アイドルは付き合ってもいいのか?」


「禁止とは言われてないですよ?」


「確かにな…」


まさか、アイドルがジャージでうろついてるとは思われまい。


「そもそもなんで零くんと付き合うことに?」


「趣味を勉強しにお茶習ってたんで。それで」


「えーまじかよ」


会社命令で、習い事をしろと言われた。他のメンバーはヨガとか運動系。だけど、私は運動しちゃいけないから、(痩せたらダメだから)お茶になった。テレビを見ない先生がいいとリクエストしたら、零が担当になっていた。私を知らない人だから話しやすくて、零も話すのが楽しかったみたいで、仲良くなった。

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