第17話

「おかえりなさい」


「あれ…なにこれ」


「生け花です。他の先生と一緒に展示会に出すことになりまして」


リビングの机に、立体的に花を生けられてる。周りには切った茎が散らばっていた。零は立ち上がって眺めてる。


「カーペットの上なんだけど」


「…あ、そうでした」


「零、そんなに急いでたんだ」


「…急に決まりまして…すみません…」


「ううん。頑張って」


「…ありがとうございます」


ぎゅっと抱きしめられた。


「頑張ります」


再び作業に零は戻る。生け花できたとか知らなかったな。これは、パフォーマンスとかもできそうなレベルだ。書道家と自称してるけど、なんでもできすぎる。


さてご飯を作ろう。零はハンバーグとか食べたことあるかなー?給食で出る?小学校は青森でしょ?…わからない。


「終わりました」


調理中に零がやってきた。


「よかった。ちょーど焼けるところ」


「なんですか?それ」


「ハンバーグ」


「え!すごいです。それは家で作れるんですね!」


「作れるよー」


それから、生花作品を見た。

なんじゃこれ。なんでこんなものができるんだ?


「ご飯は、この段ボールで食べよ」


零の荷物はまだ片付け途中。で、いらない段ボールが発生している。つぶしてないやつを使う。


「あ、そうですね…すみません、散らかってて」


「ううん」


零の腕にしがみつく。


「さっちゃん、なにかいいことあったんですか?」


「仕事が増えたんです〜」


「それは素晴らしいです」

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