第30話

「水着オッケーだからですよね?」


「こんな子に着て欲しくない」


…確かに。実さんのブランドなのに。


「どうやったらジャムが担当になる?」


「え…えーと、その子が撮影嫌になったら…とか」


「なーるほど!じゃあ、ちょっといじわるしたらいいってこと?」


「え?えー、まぁ…」


「わかった!ありがとうほのかちゃーん」


いじわるってなに?あれか、マウント取るとか?わかんないけど。


翌日。ピーチって子は普通に撮影していた。なんだ。いじわるなんてしてない。ジャムさんったら、冗談だったのか〜


「ピーチちゃん、かわいいですねぇ」


カメラマン萩原さんは、こっちの撮影さぼって見てる。


「あのー私の撮影中ですが」


「あ、すみません」


他のスタッフだって見てるし。なぜか実さんのアシスタントしてる藤原さんだって、鼻の下伸ばしてそうな雰囲気。うざ。

そして、何事もなく仕事は終わったようだ。


撮影が終わり、休憩室でご飯を食べていたら、ジャムさんがやってきた。


「ほのかちゃん、ピーチって子は?」


「え?来てませんよ」


「えー?どうやって帰ったのかな?」


「どういうことですか?」


「ジャムね、下着をハサミで切っておいたの」


「…は?」


「水着でそのまま帰ったのかなー?」


なぜ、そんなこと…え、これがいじわる?ひどくない?

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