第33話 犯罪の計画
昼間。
ファミレスの店内は混んでいる。
隅のテーブル席で若い男が目の前に座っている中年の男に小さい声で言った。
「本当に銀行強盗をするんスカ?」
「俺たちは金がないからしょうがないだろ? 俺は警察からの逃走生活に必要な金、お前は病気の治療費」
若い男は記憶に異常のある病気だ。道端に倒れているところを発見──中年の男が病院へ連れていき、病気が判明した。家がどこにあるかもわからないので、泊めてもらってる。
若い男は言った。
「オレ、ホントに万引きとか色々悪いことしちゃったんスカね? 記憶がなくて」
「自分がやったんじゃなくて他人がやったと思え」
若い男は以前、中年の男にとある指名手配のチラシを見せてもらった。そこには自分の顔と名前がのっていた。
二人は椅子から立ち上がった。中年の男は誰にも聞こえないように呟く。
「あのチラシはニセモノだけどな」
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